今回は「啓蒙」と「啓発」の違いについてお伝えします。
どちらの言葉についても大人であれば一度は耳にしたり、目にしたりしたことがあるはずで、全く意味がわからないということは、まずないでしょう。
しかし、その違いは?と問われれば答えられない方のほうが圧倒的に多いのでは?
私にしたって辛うじて昔、歴史の授業で習った啓蒙思想家、モンテスキューを思い浮かべることができる程度のものです。
そこであらためて「啓蒙」と「啓発」の違いについてしっかりと調査した上でこちらのサイトでも紹介してみようと考えた次第です。
「啓蒙」と「啓発」、それぞれの言葉の意味や違いを具体例を交えてわかりやすさ重視で解説していくつもりですので興味のある方は是非とも最後までご覧になって下さい。
どちらの言葉も知ってはいるけど、その違いなんて考えたこともないなあ。
「啓蒙」とは?その意味と役割
「啓蒙(けいもう)」とは、正しい知識や考え方を人に広めること
ですね。
多くの場合、無知や誤解を解消するために行われます。
たとえば大昔、人は地球は静止しており、太陽等の天体の方が地球の周りを回っていると考えていたわけですが(天動説)、それを、いやいや実際には地球の方が太陽の周りを回っているんだよ(地動説)と誤解を正すようなことですね。
「啓蒙」の目的は新しい知識や考えを分かりやすく伝え、社会全体の理解を深めることになります。
教育の場で新しい知識を教えたりだとか、社会の問題についての理解を広めたりだとかいったことですね。
「人々が知らないこと・誤解していることをわかりやすく説明し、正しい知識を伝える」
これこそが「啓蒙」という言葉の意味するところであり、その主な役割と言えます。
無知や誤解を解消するって大切なことだけど大変そう。実際、中世において地動説を唱えた人達はひどい目に遭っているんだもんね。
「啓発」とは?その意味と目的
「啓発(けいはつ)」とは、特定の問題に対する理解を深め、その問題解決に向けての行動を促すこと
です。
「啓発」は、すでにある程度の知識を持っている人を対象としています。
例えば、地球の温暖化が大きな問題であることは既にほとんどの人が知っていますよね。
しかし、知っているだけでは問題解決できないわけです。
節電するとかリサイクルできるものはしっかりとリサイクルに回すとかいった行動が伴わないと。
そのような具体的な行動を促すことを目的とするのが「啓発」であると考えて下さい。
ある程度の知識があることを前提にその知識をさらに深め、問題解決のための行動を起こすところまで誘導するのが啓発ってことだね。
「啓蒙」と「啓発」の違い
それでは、ここであらためて「啓蒙」と「啓発」、両者の違いについて確認したいと思います。
まず、「啓蒙」と「啓発」はその目的が異なります。
啓蒙の目的は正しい知識を広めることですが、啓発の目的は行動の改善や問題解決を図ったりすることです。
また「啓蒙」と「啓発」ではその対象者も異なります。
啓蒙の対象者は、知識があまりない人ですが、啓発の対象者は、ある程度の知識がある人です。
このように、「啓蒙」と「啓発」は共に「人に何かしらのことを教える」という意味を持つ言葉ではありますが、それぞれ目的と対象が異なるため、場面に応じて適切に使い分ける必要があります。
なるほど、目的と対象者が違うのね、おかげで、だいぶ、違いがつかめてきたわ。
まとめ
- 「啓蒙(けいもう)」とは、正しい知識や考え方を人に広めることである
- 「啓発(けいはつ)」とは、特定の問題に対する理解を深め、その問題解決に向けての行動を促すことである
- 「啓蒙」と「啓発」ではその目的と対象者が異なる
そう言えば、私が身を置く、宅建業界においても近年、人権啓発活動ということがよく言われるようになりました。
人権は尊重されなければならないということは、みんな良く知っている。
でも単に知っているだけでは意味がなく、実際に人権を尊重するために具体的な行動を起こすことこそが大事。
そこで具体的な行動を促すべく活動がなされているわけですから、人権啓蒙活動ではなく、人権啓発活動で正解なわけです。
合点がいきました。やはり正しい知識があるって大事なことですね。
以降、自信をもって「啓蒙」と「啓発」という言葉を使い分けることができそうです。
まあ、こんな小難しい言葉、死ぬまでにあと何度、使うことがあるかはわかりませんけどね(笑)
などと少し本音をもらしつつ、本日はこのへんで。
以上、今回は「啓蒙」と「啓発」の違いについてお伝えしました。