「しやん」の意味は？どこの方言？生粋の大阪人が解説するよ。

先日、愛知県出身の大学時代の後輩から、こんな質問を受けました。
「お客さんが「しやん」という言葉を使われるのですが、どういう意味だかご存じないですか？
大阪生まれの会社の先輩に訊いても、聞いたことがないとおっしゃるんですよね。」

なるほど「しやん」というのは、なかなか、厄介な言葉。
大阪でも一部の地域でしか、使われないため、他県民の方はもちろんのこと、大阪生まれの方でも聞いたことがないという方が結構、多いかもしれません。

そこで今回は、その認知を広げるべく「しやん」という言葉の意味について、生粋の大阪人である、私、やっせが解説していきたいと思います。
また「しやん」の使い方やどこの方言なのかといったことについても、あわせて、お伝えして参りますので興味のある方は是非、最後までお付き合い下さい。

あっこちゃん

私にも大阪出身の友達がいるけど、「しやん」って言葉を使っているのは聞いたことがないかも。

しやんって、どういう意味？使い方は？

「しやん」とは、ズバリ「しない」という意味です。
たとえば、こんな風に使います。

例文①

「そんなこと、しやんよ。」
（標準語訳：そんなことしないよ。）

例文②

「私は、しやん。」
（標準語訳：私はやらない。）

例文③

「宿題しやんとあかんねん。」
（標準語訳：宿題しないといけないんだ。）

まあ、よりメジャーな関西弁「せーへん」と、ほぼ同じ意味ですね。

なお、ここで一点、気をつけて頂きたいのは「しやん」は「な」と続ける時には「しない」ではなく「する」という意味になってしまうということです。
たとえば、こんな場合です。

例文④

「あの子、めちゃくちゃ、しやんな。」
（標準語訳：あの子、めちゃくちゃするね。）

かなり、ややこしい話なのですが、とりあえず「しやんな」と終助詞が「な」になった場合には要注意と覚えておいて下さい。
あとは、前後の文脈から考えても、大体、見当がつくと思います。

※補足
例文①②③と例文④ではおそらく、そもそもの言葉の成り立ちが違うものと考えられます。
例文①②③の「しやん」の「やん」は「し」を否定する助動詞
これに対して例文④の「しやん」は「しやる」の「る」がなまったもの
ではないかと。
あくまで私見ですので、ご参考までに。

まことくん

「しやん」は「しない」なのに「しやんな」は「するね」なの？
ややこしい。

以下、上記例文①②③の意味での「しやん」についての話です。
「しやん」という言葉が、果たして、どこの方言なのか、図書館やネットなどで調べてみたのですが、残念ながら明確な答えは得られませんでした。

そこで、「しやん」がどこの方言かということについて、私の知り得る事実から推測したいと思います。
いわゆる帰納法的アプローチというやつですね。

私の友人・知人の中で上記例文①②③の意味で「しやん」という言葉を使う人の居住地もしくは出身地は以下のとおりです。

大阪、和歌山、三重と3つの府県にまたがっていて一見、何の手がかりも得られないような感じがします。
しかし、実はここで取り上げた市町にはある共通の特徴があるんですね。

それは、いずれの市町も紀伊半島の海沿いに位置しているということなんです。
まず、上記の市町の中には紀伊半島のど真ん中に位置する海なし県である奈良県の市町が一つも含まれていません。

さらに大阪・和歌山・三重の市町についても内陸部に位置するものは、ただの一つも含まれていない。
全てが海に近い場所に位置している市町なんです。

以上のことから考えると一つの可能性として「しやん」は紀伊半島の海沿い地域に拡がった方言ということが言えるかもしれません。

ただ、この仮説を裏付けるにはサンプル情報が質的にも量的にも弱すぎます。
なにしろ和歌山県南部や三重県南部の市町村に関する情報が皆無ですからね。

ということで和歌山県南部や三重県南部の市町村にお住まいの方の「しやん」の使用状況に関する情報を心より、お待ちしています。

まことくん

海沿いって昔から船での往来があったはずだから、それに伴って言葉も広まっていったのかもね。

それにしても今回の考察は参考にできる資料が全然なくて、なかなか骨が折れました。
もう、こんな大変な考察はしやん。

ダメだ、やっぱり、すべった。(笑)
同じ大阪でも北部の人間にとっては「しやん」の使い方は難しい。
今度、岸和田の友達に会ったときに使い方を、よく聞いときます。

あっこちゃん

ちなみに「しやん」が使われる地域でも「せーへん」で十分、意味が通じるらしいから安心してね。
たぶん「しやん」ネイティブ以外は「せーへん」を使う方が無難よ。

※当サイトでは「しやん」以外にも様々な言葉の意味等にについて解説しています。
色々と面白い発見があることと思いますので、興味のある方は合わせてご覧になって下さい。