これまで小中高生の50メートル走の平均タイムを紹介してきましたので、今回はその続編として大人の50メートル走の平均タイムについてお伝えしたいと思います。
・・・といいつつ、実は散々調べてみたのですが、信頼性のある機関が公表している大人の50メートル走の平均タイムというのは発見することができませんでした。
これまで引用させて頂いてきたスポーツ庁所管の体力・運動能力調査でも20歳以上については、50メートル走のタイム計測が行われていません。
ひょっとすると普段、あまり運動する機会のない大人が無理して50メートルを全力で走ったりするとケガ人が続出するような事態になりかねないからかもしれませんね。
そこで本記事では2022年4月以降、成人扱いとなる18歳と19歳の50メートル走の平均タイムを大人を代表するものとして取り上げ、紹介・検討していくことと致します。
18歳、19歳については体力的には既に大人ですし、事実として今後は法律的にも大人扱いされることになるわけですから、十分、有用な検討ができるはずです。
幅広い年代ごとのデータを紹介できないのは残念ではありますが、一つの参考として最後までお付き合い頂ければと思います。
それでは早速、行ってみましょう。
たしかに子供の運動会でお父さんやお母さんが走っている姿を見る限り、無理に50メートル走を走らせたりしたら、ケガ人が続出になるかも。
50メートル走、大人の平均タイムは?
令和2年度に実施された体力・運動能力調査における大人(18歳・19歳、以下単に大人とする)の50メートル走の平均タイムは以下のとおりでした。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳 | 7.34秒 | 9.17秒 |
19歳 | 7.27秒 | 8.90秒 |
男性については18歳から19歳の間にわずかながら平均タイムが縮まっています。
大学受験が終わり、運動する機会が増えたため、平均タイムが伸びているのかもしれません。
ただし、19歳の平均タイムは17歳の平均タイム7.23には及ばず、男性については17歳時点が50メートル走の平均タイムのピークになっている可能性があります。
女性については18歳から19歳の間に0.27秒も平均タイムが縮まっています。
男性同様、大学受験が終わったことによる運動機会の増加が影響しているのかもしれません。
また、19歳の8.90という平均タイムは高校時代の最高平均タイム、高1時点の8.96秒を上回るもので、その意味で高校時代より平均タイムが伸びているということができます。
しかしながら、この8.90という平均タイムも14歳時点の平均タイム8.75秒には及ばず、女性の50メートル走の平均タイムのピークは14歳時点(中学生2年生)ということになりそうです。
男性も女性も50メートル走の平均タイムのピークが結構、速くくるんだね。
やはり50メートル走を走る上では身軽な方が有利ってことかしら。
年代ごとの平均タイムを知るには?
冒頭でも申し上げたとおり、信頼性のある機関が公表している20歳以降の大人の50メートル走の平均タイムというのは存在しないようです。
しかしながら、大人全体ではなく、自分が同年代の中で足が速い方なのか、それとも遅い方なのか、その判断の目安だけでも知りたいところですよね。
そこで、ここではあなたの50メートル走のタイムが同年代の中では速い方なのか、遅い方なのかを判断するための参考資料を提供してくれるサイトをご紹介しておきます。
こちらになります。
必要事項を入力し、検索するのボタンをクリックすると、あなたの「かけっこ年齢」が表示されます。
つまり表示される「かけっこ年齢」があなたの実年齢より下であれば、あなたの50メートル走のタイムは同年代の平均タイムを上回っているものと判断できます。
逆に 「かけっこ年齢」があなたの実年齢より上であれば、あなたの50メートル走のタイムは残念ながら同年代の平均タイムを下回っているものと判断されることになります。
なお、表示される「かけっこ年齢」が実年齢より上だったとしても、あまりガッカリされませんように。
そもそも、この手の記録会に参加される方は、体力自慢の人が圧倒的に多いですからね。
あくまで参考程度のものであると捉えて下さい。
うわっ、僕、かけっこ年齢が48歳になっちゃったよ。
これはちょっとマズいかも。
大人の平均タイム、過去からの推移は?
次に50メートル走の大人の平均タイムの変化傾向を探るべく、過去からの推移をチェックしてみましょう。
ここでは平成11年度から令和2年度の50メートル走の平均タイムを男女別に一覧にしてみます。
まずは男性編です。
年度 | 18歳 | 19歳 |
---|---|---|
平成11年度 | 7.41秒 | 7.44秒 |
平成12年度 | 7.41秒 | 7.4秒 |
平成13年度 | 7.51秒 | 7.37秒 |
平成14年度 | 7.49秒 | 7.45秒 |
平成15年度 | 7.51秒 | 7.44秒 |
平成16年度 | 7.44秒 | 7.43秒 |
平成17年度 | 7.47秒 | 7.43秒 |
平成18年度 | 7.51秒 | 7.39秒 |
平成19年度 | 7.50秒 | 7.38秒 |
平成20年度 | 7.51秒 | 7.44秒 |
平成21年度 | 7.49秒 | 7.47秒 |
平成22年度 | 7.52秒 | 7.47秒 |
平成23年度 | 7.40秒 | 7.35秒 |
平成24年度 | 7.37秒 | 7.28秒 |
平成25年度 | 7.36秒 | 7.38秒 |
平成26年度 | 7.38秒 | 7.36秒 |
平成27年度 | 7.32秒 | 7.31秒 |
平成28年度 | 7.34秒 | 7.34秒 |
平成29年度 | 7.33秒 | 7.36秒 |
平成30年度 | 7.33秒 | 7.32秒 |
令和元年度 | 7.36秒 | 7.37秒 |
令和2年度 | 7.34秒 | 7.27秒 |
平成13年度から平成22年度の10年間の平均タイムが7.4秒台から7.5秒台で推移しているのに対して、平成23年度から令和2年度の10年間は平均タイムが、ほぼ7.3秒台になっています。
つまり、大人の男性の50メートル走の平均タイムは、近年、速くなってきていることがわかります。
次は女性編です。
年度 | 18歳 | 19歳 |
---|---|---|
平成11年度 | 9.22秒 | 9.12秒 |
平成12年度 | 9.24秒 | 9.16秒 |
平成13年度 | 9.29秒 | 9.23秒 |
平成14年度 | 9.27秒 | 9.28秒 |
平成15年度 | 9.30秒 | 9.15秒 |
平成16年度 | 9.27秒 | 9.18秒 |
平成17年度 | 9.14秒 | 9.13秒 |
平成18年度 | 9.26秒 | 9.24秒 |
平成19年度 | 9.23秒 | 9.10秒 |
平成20年度 | 9.23秒 | 9.17秒 |
平成21年度 | 9.21秒 | 9.13秒 |
平成22年度 | 9.37秒 | 9.24秒 |
平成23年度 | 9.16秒 | 9.09秒 |
平成24年度 | 9.12秒 | 9.05秒 |
平成25年度 | 9.21秒 | 9.15秒 |
平成26年度 | 9.06秒 | 9.02秒 |
平成27年度 | 9.09秒 | 9.03秒 |
平成28年度 | 9.16秒 | 9.07秒 |
平成29年度 | 9.09秒 | 9.13秒 |
平成30年度 | 9.13秒 | 9.02秒 |
令和元年度 | 9.14秒 | 9.09秒 |
令和2年度 | 9.17秒 | 8.90秒 |
平成13年度から平成22年度の10年間は平均タイムが9.1秒台から9.3秒台で推移しているのに対し、平成23年度から令和2年度の10年間はほぼ9.0秒台から9.1秒台で推移しています。
大人の女性については大人の男性以上に50メートル走の平均タイムが速くなる傾向にあることがわかります。
特に令和2年度、19歳の8.90秒という平均タイムは、これまでの19歳の平均タイムを0.1秒以上、縮めるタイムですね。
今後、大人の女性の50メートル走の平均タイムは8秒台に突入していくことになるのかもしれません。
平均タイムが速くなっているのはいいニュースだよね。大人の女性の平均タイムがどこまで速くなるのか楽しみ。私も頑張ろっと。
スポーツクラブ等への所属の有無の影響は?
次にスポーツクラブ等に所属している大人とそうでない大人の50メートル走の平均タイムの比較検討を行います。
男性 | スポーツクラブに所属している | スポーツクラブに所属していない |
---|---|---|
18歳 | 7.22秒 | 7.47秒 |
19歳 | 7.20秒 | 7.33秒 |
女性 | スポーツクラブに所属している | スポーツクラブに所属していない |
---|---|---|
18歳 | 8.79秒 | 9.24秒 |
19歳 | 8.70秒 | 8.95秒 |
男性・女性共にスポーツクラブ等に所属している人の平均タイムの方がそうでない人の平均タイムを明確に上回っています。
これは小中高の各年代とも一致する予想通りの結果ですね。
都会と田舎での平均タイムの差は?
次に都会の大人と田舎の大人の50メートル走の平均タイムの差を確認しておきます。
なお、本記事においては体力・運動能力調査における都市階級区分の大・中都市を都会、町村を田舎として取り扱うことと致します。
男性 | 大・中都市(都会) | 町村(田舎) |
---|---|---|
18歳 | 7.32秒 | 7.38秒 |
19歳 | 7.29秒 | 7.14秒 |
女性 | 大・中都市(都会) | 町村(田舎) |
---|---|---|
18歳 | 9.24秒 | 9.08秒 |
19歳 | 8.85秒 | 8.89秒 |
男性・女性共に各年齢区分ごとの判定で1勝1敗ですので、ほぼ5分といったところでしょうか。
高校生の時と同じような結果と言えそうです。
目を引くのは田舎の男性と都会の女性の18歳から19歳にかけての平均タイムの伸びですね。
それぞれ0.24秒、0.39秒もタイムを短縮していることになります。
18歳で一旦、平均タイムが落ち込む分、一気に伸びているのでしょう。
田舎の19歳の7.14秒って、すごいタイムだよね。6秒台目前じゃん。
まとめ
- 50メートル走の平均タイムの公式データは20歳以降の大人については存在しておらず、2022年以降、成人扱いとなる18歳と19歳の平均タイムで検討するしかない。
- 男性は18歳から19歳にかけてわずかながら平均タイムが縮まっているが17歳時の平均タイムには及ばない。
- 女性も18歳から19歳にかけて平均タイムが縮まっているが中学生時(13歳~15歳)の平均タイムには及ばない。
- 平成13年度から平成22年度の10年間と平成23年度から令和2年度までの10年間を比較すると、後の10年間において男女ともに50メートル走の平均タイムが速くなる傾向を確認することができる。
- スポーツクラブ等に所属している大人とそうでない大人ではスポーツクラブ等に所属している大人の方が50メートル走の平均タイムが速くなる。
- 都会(大・中都市)の大人と田舎(町村)の大人の50メートル走の平均タイムはほぼ、拮抗している。
今回は大人の50メートル走の平均タイムと言っても18歳と19歳のデータしか見つけられずに、消化不良になりそうな気がしてたけど、それでもいろんな発見があったわね。
小中高生に負けずに大人の平均タイムも速くなっていることがわかって、ちょっと安心したわ。
ちなみに他の平均についてもあれこれ記事にしていますので、合わせてチェックしてみて下さいね。
⇒色んな平均の記事一覧