これまで50メートル走の平均タイムやシャトルランの平均回数などを調査することによって、現代人の瞬発力や持久力について検討してきたわけですが、そうなると体力のもう一つの側面である「柔軟性」がどの程度のものなのかということが気になってきました。
体の柔軟性は運動をする上でのパフォーマンスに影響するのはもちろんのこと、その際のケガのしやすさ、しにくさにも直結しますからね。
そこで、今回から数回にわたって現代人の柔軟性について知るべく長座体前屈の平均について年代ごとにあれこれと調査してみたいと思います。
初回は中学生の長座体前屈の平均についてです。
中学生の時期というのは、これまでの50メートル走の平均タイムやシャトルランの平均回数の調査でもわかるとおり、体力的な成長が著しく、また、平均記録のピークとなることも多い、注目すべき時期です。
つまり、体力の変化に関して、最も注目すべき時期の調査を最初に行うことによって、全体的な調査検討の足掛かりをつかもうということです。
それでは、早速、調査を開始していきますので興味のある方は是非、最後までお付き合い下さい。
長座体前屈というのは、壁に背中をつけて座った状態から体を前方に倒しながら測定器を押し、その移動距離を測る体力測定種目だね。
イメージがわかないという人は、以下の動画を参考にしてみて。
動画内では記録を伸ばすためのコツも教えてくれているよ。
長座体前屈、中学生の平均は?
令和2年に実施された体力運動能力調査における中学生の長座体前屈の平均記録は以下の表のとおりになっています。
※これまでの調査記事では中学1年生、2年生、3年生の平均記録として、それぞれ13歳、14歳、15歳時の平均記録を掲載してきましたが体力運動能力調査が5月中旬から6月下旬という大半の人がその年度の誕生日を迎える前の時期に実施されていることが判明したため、以降の調査記事では中学1年生、2年生、3年生の平均記録として、それぞれ12歳、13歳、14歳時の平均記録を掲載することに致します。
その点、あらかじめご了承下さい。
※()内の数字は平均身長です。
学年 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
中学1年生(12歳) | 40.85cm(154.03cm) | 43.28cm(152.36cm) |
中学2年生(13歳) | 44.99cm(161.41cm) | 47.61cm(154.86cm) |
中学3年生(14歳) | 48.46cm(165.36cm) | 48.98cm(157.08cm) |
※引用元:令和2年度体力運動能力調査(速報)
男女ともに学年が上がる度に長座体前屈の平均記録が伸びていることが確認できます。
平均身長が伸びれば当然、長座体前屈の平均記録も伸びやすくなるわけですが、その点を差し引いても柔軟性が上がっているものと判断して良いでしょう。
男子女子間の比較ではいずれの学年においても女子の長座体前屈の記録の方が上回っています。
平均身長は女子の方が低いにもかかわらず、このような結果になっているわけですから、長座体前屈の平均記録から考えるかぎり、柔軟性については女子の方が明確に上であると結論付けることができそうです。
瞬発力や持久力では男子にかなわなかったけど、柔軟性では女子の方が上なんだね。
素直にうれしいわ、やったー!
平成の中学生と比べると?
次に中学生の柔軟性の変化傾向を知るべく、少し昔の中学生の長座体前屈の平均記録との比較を行ってみましょう。
ここでは政府が運営する統計データサイト、e-Stat内で公開されている体力運動能力調査結果のうち、最も古い平成11年度の調査結果における中学生の長座体前屈平均記録との比較を行うことにします。
学年 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
中学1年生(12歳) | 37.55cm | 40.91cm |
中学2年生(13歳) | 40.77cm | 43.78cm |
中学3年生(14歳) | 44.20cm | 45.02cm |
※引用元:平成11年度体力運動能力調査
全学年、男女ともに令和の中学生の長座体前屈平均記録の方が上回っていることが確認できます。
以前、確認した50メートル走やシャトルランについても令和の中学生の平均記録の方が上回っていましたので、瞬発力、持久力、柔軟性の全側面において令和の中学生の方が平成の中学生より体力があるものと判断できることになります。
なんとなく中学生の体力は昔に比べて低下し続けているようなイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、それは完全に誤ったイメージです。
事実として令和の中学生は少なくとも平成の中学生と比べれば、よほど体力があるということです。
令和の中学生、なかなかやるな。
平成の中学生としては悔しい気持ちもあるけど、あっぱれだわ。
運動部等への所属の有無の影響は?
次に運動部等に所属している中学生とそれ以外の中学生の長座体前屈平均記録の比較を行いたいと思います。
学年 | 運動部等に所属している | 所属していない |
---|---|---|
中学1年生(12歳) | 41.68cm | 36.69cm |
中学2年生(13歳) | 45.62cm | 40.03cm |
中学3年生(14歳) | 49.30cm | 45.24cm |
長座体前屈平均記録の比較男子編
※引用元:令和2年度体力運動能力調査(速報)
学年 | 運動部等に所属している | 所属していない |
---|---|---|
中学1年生(12歳) | 44.76cm | 39.88cm |
中学2年生(13歳) | 48.67cm | 45.13cm |
中学3年生(14歳) | 50.17cm | 47.28cm |
長座体前屈平均記録の比較女子編
※引用元:令和2年度体力運動能力調査(速報)
全学年、男子女子共に運動部等に所属している中学生の平均記録の方が、それ以外の中学生の平均記録を上回っています。
つまり、運動部等に所属している中学生の方が明確に体の柔軟性が高いということです。
まあ、これは完全に予想通りの結果ですね。
冒頭でも触れたとおり、柔軟性が低いとどうしてもケガをしやすくなりますし、ケガをする際のその度合いも、ひどくなりがちです。
運動部等に所属していない中学生も、その点を心に留め、なるべくケガを避けるべく、柔軟性を高く保つことを心がけて下さいね。
※参考
長座体前屈の記録を伸ばすのに効果的なストレッチ法をわかりやすく解説している動画を紹介しておきます。
私自身も試してみましたが、間違いなく効果のある方法なので、体を少しでも柔らかくしたいという方は是非とも実践してみて下さい。
まとめ
- 中学生の長座体前屈の平均記録は男子女子共に学年が上がるにつれて順調に伸びている。
身長が伸びることを考慮しても学年が上がるにつれて柔軟性が増しているものと判断できる。 - 男子と女子では女子の長座体前屈の平均記録の方が上回っている。
- 令和の中学生と平成の中学生では令和の中学生の長座体前屈の平均記録の方が上回っている。
- 運動部等に所属している中学生とそれ以外の中学生では運動部等に所属している中学生の長座体前屈の平均記録の方が上回っている。
体がかたいとケガをしやすいのはもちろんのこと、太りやすくなるとか、疲れやすくなるという研究データもあるんだって。
長座体前屈の記録が平均を下回っている人はケガなく健康に過ごすためにも、なるべく体を柔らかくできるよう努力してね。
ちなみに他の平均についてもあれこれ記事にしていますので、合わせてチェックしてみて下さいね。
⇒色んな平均の記事一覧