こんにちは、コテコテ関西人やっせです。本日は「とらまえる」という言葉について紹介致します。
先日、ある本の原稿の中で「とらまえる」という言葉を使ったところ、担当編集者から「???」と赤を入れられてしまいました。
えっ、「とらまえる」って言葉としては間違っているの?それとも関西の方言?
ということで、今回、あらためて「とらまえる」という言葉について、しっかりと調査した上で紹介してみようと思い立ったわけです。
「とらまえる」という言葉の意味はもちろんのこと、言葉として間違っているのか、あるいはどこかの方言なのかということなどについて、なるべく丁寧に、かつユーモアをもって紹介していくつもりですので興味のある方は是非とも最後までお付き合い下さい。
ほんなら、早速、いかせてもらいまっせ~!
「とらえる」じゃなくて「とらまえる」?そんな言葉があるの?はじめて聞いたわ。
「とらまえる」の意味とは?
まずは「とらまえる」という言葉の意味についてサクッと紹介しておきます。
とらまえる(捉まえる・捕まえる)の意味は
- とらえる(捉える)
- つかまえる(捕まえる)
- ふまえる(踏まえる)
などです。
「とらまえる」は「とらえる」と「つかまえる」の混成語(複数の言葉の一部が合体して生まれた言葉・かばん語ともいう)なので、もともとの言葉である「とらえる」「つかまえる」の意味は当然に持ち合わせているわけですね。
さらにある事柄を「とらえ」れば、それに基づいてあれこれと考えたり、論じたりすることにもなりますので、そのことから「ふまえる」という意味合いで使用することもあります。
ちなみに私自身の経験で言えば「とらまえる」を「つかまえる」という意味で使っている人は見たことがないですね。
古い小説などではちょくちょく「とらまえる」を「つかまえる」という意味で使用している事例があるようですが、少なくとも現代の会話ではまず、使わないものと考えます。
ちなみに混成語には、ほかに「やぶる」と「さく」が合体した「やぶく」や「ようやく」と「やっと」が合体した「ようやっと」などがあるんだって。
「とらまえる」を使った例文
それでは次に「とらまえる」を使った関西弁の例文をご紹介致します。実際の会話を想定した例文を検討することによって、「とらまえる」という言葉に対する理解がさらに深まることになると思いますので、是非とも参考にして下さい。
今後のわが国の外交政策を考えるにあたっては、現在の世界情勢をどう、とらまえるかということが、めちゃ、めちゃ、重要になってくるわけですわ。
(標準語訳:今後のわが国の外交政策を考えるにあたっては、現在の世界情勢を、どう、とらえるかということが非常に重要になってくるわけですよ。)
「とらえる」の意味で使用している事例。
関東の方からすると、関西弁で世界情勢云々と言っているのは、ちょっと変な感じがするかもしれませんが、関西人だって、時々は世界情勢の話をします(笑)。
スリや!そいつをとらまえてんか!!
(標準語訳:スリだ!そいつを捕まえてくれ!!)
「つかまえる」の意味で使用している事例。
一応、例文を作ってみたものの、やはり、私自身はこの意味で使っているのを聞いたことがありません。昔は使っていたんでしょうけどね。
お客さんのニーズの変化をしっかりととらまえて、どんな商品を開発するのか、考えていかんと。
(標準語訳:お客さんのニーズの変化をしっかりとふまえて、どんな商品を開発するのか、考えないと。)
「とらえる」もしくは「ふまえる」の意味で使用している事例。
国語辞典などには、「ふまえる」という意味は載っていないようですが、私は結構「ふまえる」の意味で使っている人を見かけます。
まあ「とらえる」と「ふまえる」を厳密に区別する必要もないのかもしれませんが。
「とらまえる」という言葉は、政治とかビジネスとか、ちょっと小難しい話をする際に使うことが多いのかしら。まあ、言葉の意味的にそうなってしまうのかもね。
「とらまえる」はどこの方言?
「とらまえる」は東は中部地方(静岡県・愛知県・岐阜県)から西は中国、四国地方(山口県・愛媛県)までと西日本の広い範囲で使用されている言葉です。
したがって、あえて言うならば、中部地方から中国、四国地方にかけての方言ということになるでしょう。
ただし、地方ごと、年代ごとに「とらまえる」という言葉の認知度はかなり、差があるようなので、その点を踏まえて使用の是非を考える必要があります。
たとえば、20代以下の若年層では、ほとんど認知されていないようですので、そういった年代の人との会話の中では、なるべく使用を控える方が良いでしょう。
ためしにうちの大学生の息子に『「とらまえる」って言葉、知ってるか?』と聞いてみたところ、かえってきた答えは『はあ?』でした。全く聞いたこともないようです(笑)。
若年層は、ほとんど使用しないのか。やはり、全国的に標準語化は、進み続けているんだね。
まとめ
- 「とらまえる」の意味は「とらえる」「つかまえる」「ふまえる」。なお、「とらまえる」は「とらえる」と「つかまえる」の混成語である。
- 「とらまえる」は中部地方(静岡県・愛知県・岐阜県)から中国、四国地方(山口県・愛媛県)までの西日本の広い範囲で使用されている方言である。
- 「とらまえる」は20代以下の若年層には、ほとんど認知されていない。
私にとって「とらまえる」というのはズバリ「先生言葉」ですね。
たとえば学校の先生とか、議員さんとか弁護士さんとか、「先生」と呼ばれる立場にある人たちが、やや、小難しい話をするときに使う言葉という印象があります。
私自身も普段は、全然、使わないのですが、本の原稿などを書いている際になんとなく使ってしまう時があります。ひょっとすると、ちょっと、賢そうに見られたいと思っているのかもしれません(笑)。
いずれにしても、西日本の人も、そんなに頻繁に使用する言葉ではありませんので「西日本には、そういう方言があるんだなあ。」という程度の認識で十分かと。
決して言い間違いではないということだけは覚えおいて下さい。
以上、今回は「とらまえる」という言葉の意味等についてお伝えいたしました。
当サイトでは「とらまえる」以外にも様々な言葉の意味等についてお伝えしています。結構、面白い話も多いと思いますので興味のある方は合わせてチェックして下さい。