毎度!コテコテ関西人やっせです。
先日、法事で父の思い出話になり、姉が「死ぬ間際まで「あんじょうな、あんじょうな」言うてたな」としみじみと話していたところ、大学生の姪っ子から意外な発言が飛び出しました。
「あんじょうって何?」
えっ?君ら、あんじょうって言葉、知らんの?
関西人のくせに!
で、家に帰ってから息子にも聞いてみたところ、彼も知りませんでした。
どうやら、あんじょうという言葉は関西の若者でも知らない人が増えているようです。
めちゃくちゃ便利な言葉やのに、もったいない。
ということで、本日は「あんじょう」という言葉の意味等について、ご紹介したいと思います。
特に関西人相手にお仕事されることがある方にとっては、絶対に知っておいた方がいい言葉だと思いますので、是非とも最後までお付き合い下さい。
それでは、早速、行きまっせ。
僕も関西人の友達が何人かいるけど、「あんじょう」なんて言葉は聞いたことがないな。
どういう、意味なんだろう。
あんじょうの意味とは?
あんじょうとは「いい具合に」とか「うまく」とかいった意味の言葉です。
動詞を修飾する副詞で、たとえば「あんじょうする」とか「あんじょうやる」などといった使い方をします。
「仕事、あんじょうな」などと目的を絞って、使われることもありますが、どちらかというと、「あんじょうな」などと目的を絞らずに使われることが多く、その場合、何をあんじょうやるかは、頼まれた側の裁量に委ねられることになります。
たとえば、うちの父が亡くなる間際に発した「あんじょうな」の場合、葬式ちゃんとやれよとか、墓の面倒をしっかりと見ろよとか、財産分けはみんな納得いくようになとか、孫たちをちゃんと育てろよとか、そういったことを包括した意味があったものと考えられます。
「あんじょうな」というたった一言で、物事がうまくいくためにやるべきことを、まとめて頼むことができるのですから、めちゃめちゃ、便利な言葉ですよね。
物事がうまくいくためにやるべきことを、まとめて頼むことができるのね。
たしかに、これは便利かも。
あんじょうを使った例文
それでは、ここで「あんじょう」を使った例文を紹介したいと思います。
標準語訳並びに一言コメントもつけておきますので、合わせてご覧になって下さい。
なんしか任せたで。あんじょう、たのんまっせ。
(標準語訳:とにかく任せたよ。いい具合にお願いしますよ。)
「たのんまっせ」は「たのむで」のより砕けた言い方。
気心の知れた者同士の間で軽いノリで使われます。
※「なんしか」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご確認下さい。
「なんしか」という言葉の意味やどこの方言であるかなどについて関西弁歴半世紀の大阪人がお伝えしています。使い方までわかるよう「なんしか」という言葉を使った関西弁の例文も紹介していますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
うちの大事なお客さんやから、あんじょう、したってや。
(標準語訳:うちの大事なお客さんなので、いい具合にして上げて下さいね。)
へいへい、あんじょう、しときますさかいに。
(標準語訳:はい、いい具合にさせてもらいますので。)
「あんじょう、しときますさかいに」の「さかいに。」は、あえて訳すとすれば理由をあらわす「~ので」。
そこに含まれる気持ちまで込みで訳すとすれば「いい具合にさせてもらいますので、ご安心下さい。」となるのでしょう。
あんじょう、せな、いかんよ。
(標準語訳:うまく、やらないといけないよ。)
こちらはお願いというより、「あんじょう」することについての指示・命令的な表現。
これ以外にも「あんじょう、しいや」というような言い方もします。
具体的な使い方を見ると「あんじょう」の意味が、より深く理解できたような気がする。
あんじょうはどこの方言?
「あんじょう」は関西弁ですが、もともと関西全域で使われてきたわけではなく、主に大阪の中心部で使われてきた言葉です。
したがって、あえて言うとすれば大阪中心部の方言ということになります。
同じ大阪でもだんじり祭りで有名な岸和田市を中心とする泉州地方などは語圏が異なりますので、「あんじょう」などという言葉は、ほぼ使いません。
もちろん、同じ大阪ですので意味は普通に通じると思いますが。
あんじょうの語源は?
「あんじょう」は、もともとは板場言葉(調理場用語)で「味よく」が語源と考えられています。
つまり「味よく→味よう→あんじょう」と変化してきたということです。
おいしい料理を作るためには、色んなことを多面的に、ほどよく、やらなければなりません。
そのことを「あんじょうやる」と言い、それがやがて板前さん以外の人にも広く使われるようになったのでしょう。
世の中には料理以外にも色んなことに目配せしつつ、あんじょう、やらないといけないことが、たくさんありますからね。
使い勝手のいい便利な言葉として広まったのも納得のいく話です。
語源は「味よく」なのね。
くいだおれの街、大阪らしいわ。
まとめ
- あんじょうとは「いい具合に」とか「うまく」とかいった意味の言葉。
- 「あんじょうな」などと目的を絞らずに使われる場合、何をあんじょうやるかは、頼まれた側の裁量に委ねられることになる。
- 「あんじょう」は、もともと大阪中心部の方言。
- 「あんじょう」は、もともとは板場言葉(調理場用語)で「味よく」が語源と考えられる。
ちなみにうちの亡くなった父は、大阪天満の出身で実家は食堂なんかもやっていましたので、子供の頃から「あんじょう」という言葉をよく耳にしていたのでしょう。
亡くなる間際、だいぶ朦朧としながらも、あんじょうな、あんじょうなと口をついて出たのも、ある意味、必然だったのかもしれません。
父が亡くなってから、はや7年。
ここまで自分があんじょう、やってこれたのかはわかりませんが、父が心配して枕元に立つようなことがないよう、今後、益々、あんじょう、やっていくことを、あらためて父に誓いたいと思います。
あんじょう、やるからね。
以上、今回は、「あんじょう」という言葉の意味等についてお伝え致しました。
本サイトでは「あんじょう」以外にも色んな言葉の意味等についてご紹介しています。
興味があれば、是非とも合わせてご覧になって下さいね。