こんにちは、コテコテ関西人やっせです。
本日は関西弁で「できない」ことを意味する「できひん」「でけへん」「ようせん(よーせん)」という3つの言葉の違いについてご紹介します。
なぜ、「できない」という同じ意味のことを言うのに関西では「できひん」「でけへん」「ようせん(よーせん)」など、複数の言葉が使われているのか、ちょっと不思議な感じがしますよね。
今回はそのあたりのことをサクッと解説していきますので興味のある方は是非とも最後までお付き合い下さい。
そしたら、早速、行きまっせ~!
「できない」という意味の言葉に、こんなにバリエーションがあるのね。
どんな違いがあるのかしら。
「できひん」と「でけへん」の違いは?
「できひん」と「でけへん」の違いについては以下の2つの説があります。
地域によって違う説
近畿圏をざっくり南北に分けて北側は「できひん」南側は「でけへん」を使用するとする説です。
「できひん」「でけへん」それぞれの使用地域は以下のとおりになります。
「できひん」使用地域・・・京都、滋賀、兵庫、大阪北部、奈良北部
「でけへん」使用地域・・・大阪南部、奈良南部、三重
まあ、個人的な印象としては結構、当たってそうな気がします。
たしかに京都や大阪北部の人は「でけへん」とは、まず、言わないですからね。
なお、和歌山および大阪南部でも泉州地方については「できやん」という言い方をすることが多くなっています。
母音調和説
母音調和とは一つの単語の中で使用される母音の組み合わせに制限が生じる現象のことを言います。
「できひん」と「でけへん」に関して言いますと、「できひん」は「でき」となっているので「ひん」で受けている、「でけへん」は「でけ」となっているので「へん」で受けているということです。
ものすごくアカデミックな説なので、のまれそうになりますが、個人的にはちょっと説得力にかけるような気もします。
だって、関西人は「できひん」「でけへん」の他に「できへん」という言い方も普通にしますからね。
それに「でき」と「でけ」に分かれたことの説明にはなっていませんし。
ということで個人的には「地域によって違う説」の方がやや優勢なのかなと思っています。
大阪でも北部と南部で使われるは言葉が微妙に変わってくるんだね。
まあ、江戸時代まで遡れば、もともと、違う国だったわけだから、別に不思議な話じゃないんだけど。
「できひん」「でけへん」と「ようせん」は何が違う?
次に「できひん」「でけへん」と「ようせん(よーせん)」の違いについてです。
まず、「できひん」「できへん」については不可能の意味で使われることが多いです。
英語で表現するならば「can’t」ということになります。
これに対し「ようせん(よーせん)」というのは道義的な意味で「したくない」という意味で使われることが多いです。
英語で言えば「don’t want to」に近い意味合いとなります。
ただし、以上はあくまで一般的な傾向の話です。
「できひん」「できへん」が道義的な意味で「したくない」という意味で使われることもありますし、逆に「ようせん」が不可能の意味で使われることもありますので、実際の会話の中では、文脈から、それぞれ、どちらの意味で使われているのか判断する必要があります。
道義的な意味で「したくない」場合には「ようせん」という言葉を使うことが多いのね。
これは標準語には存在しない使い分け方かも。
「できひん」「でけへん」「ようせん」を使った例文
最後に「できひん」「でけへん」「ようせん」を使った例文を紹介しておきます。
一応、標準語訳もお付けしておきますので合わせて参考にして下さい。
そないに手間のかかる仕事、うちではできひんわ。
(標準語訳:そんなに手間のかかる仕事、当方ではできないですよ。)
「できひん」を使った例文。
なお、「できひん」を丁寧に言おうとする場合、「できまひん」とはならず、「できまへん」となります。
あかんやっちゃなあ。われ、そないなことも、でけへんのか。
(標準語訳:ダメなやつだなあ。君、そんなこともできないの。)
「でけへん」を使った例文。
丁寧に言おうとする場合、「でけまへん」と言わないこともないですが、「できまへん」ということの方が圧倒的に多いと思います。
なお、「われ」は河内弁で「あなた」のことを意味します。
最近は使う人がめっきり、減ってしまいましたが。
※「あかん」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご確認下さい。
「あかん」という言葉の意味等について関西弁ネイティブが豊富な例文を交えて解説しています。さらに、「あかん」という言葉が、もともと、どこの方言で現在、どのような地域で使われているのかや、その語源などについても紹介していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
いくらなんでも、そないにあこぎなまね、ようせんわ。
(標準語訳:いくらなんでも、そんなにあごきなまね、できませんよ。)
「ようせん」を使った例文。
丁寧語は「ようしまへん」となります。
※あこぎというのは、欲張りで図々しい様のことを言います。
なるほど「ようせん」の使いどころが、なんとなく、わかった気がする。
まとめ
- 「できひん」と「でけへん」の違いについては地域によって違う説と母音調和説の2つの説があるが、前者の方がやや優勢と思われる。
- 「できひん」「でけへん」については不可能の意味で使われることが多い。
- 「ようせん(よーせん)」については道義的な意味で「したくない」という意味で使われることが多い。
ちなみに私自身は「できひん」「でけへん」共に全く使わず、物心ついた時から100%「できへん」を使い続けています。
そもそも議論の対象にもならないなんて「できへん」って、エセ関西弁なんでしょうか?
まあ、普通に通じるし、特に困った経験もありませんので、別にエセ関西弁でも構わないんですけどね。
そう、関西人は一見、関西弁に特別なこだわりを持っているように見えて、実際にはかなり、アバウトなのです。(笑)
関西人は関西以外の人がおかしな関西弁を使うと、そのことをやたらと指摘すると言われますが、それは、ほとんどの場合、いじっているだけで、別に嫌がっているわけではありません。
ですので、指摘されたとしても、あまり気にせずに、がんがん関西弁を使って下さいね。
そして関西弁をがんがん、広めて下され。
目指せ1億、総関西弁!(怖&笑)
以上、今回は「できひん」「でけへん」「よーせん」という言葉の違いや、その用法等についてお伝え致しました。
当サイトでは「できひん」や「できへん」以外にも様々な言葉の意味等について紹介しています。
特に関西弁については力を入れて解説していますので、関西弁に興味のある方は合わせてご覧になって下さいね。