今回は関西人がよく使う「しょうみ(正味)」という言葉の意味について解説していきます。
「しょうみ(正味)」という言葉自体は、標準語にも存在しますが、関西人が用いる「しょうみ(正味)」という言葉は、それとは微妙に違うニュアンスで使われることが多いです。
そのあたりのことを、例文を挙げながら、なるべくわかりやすくお伝えして参りますので、興味のある方は是非とも最後までお付き合いください。
それでは、早速、本題に入って参りましょう。
確かに関西の人って「しょうみ」って言葉をよく使っているよね。
どういう意味で使っているんだろう。
関西人が使うしょうみの意味は?
関西人が使う「しょうみ(正味)」の意味は「正直なところ」とか「本音で言うと」ということになります。
たとえば、こんな感じで使います。
「しょうみ、なんぼぐらいまでやったら、まかりますのん?」
(標準語訳:正直なところ、いくらぐらいまでだったら、値引きしてもらえるんですか?)
特になにわあきんどはこんな感じで、ほぼ毎日のようにしょうみという言葉を使っているのです。
では、次に比較のためにweblio辞書(デジタル大辞泉)さんから標準語での「しょうみ(正味)」の意味を引用します。
しょうみ【正味】
引用元:weblio辞書(デジタル大辞泉)
1 余分なものを取り除いた、物の本当の中身。「正味の少ない果物」
2 風袋を除いた、商品だけの目方。「正味1キログラム」
3 実質的な数量。「昼休みを除いて、正味8時間働いた」
4 掛け値のない値段。また、仕入れの値段。正味値段。「正味で売る」
5 表面に現れない、隠された本当のところ。
こうやって、あらためて両者を比較してみると、実はそんなに標準語と関西弁でかけ離れた意味で使われているわけではないんですね。
特に標準語の「しょうみ(正味)」の意味、5あたりは、関西弁の「しょうみ(正味)」の意味と、ほぼ、同じと言っていいぐらいかもしれません。
いずれにしても関西人が「しょうみ(正味)」という場合には標準語の1~4のような意味で使うことは少なく、圧倒的に「正直なところ」とか「本当のところ」という意味で使うことが多いということを覚えておいて下さい。
関西の人は「しょうみ」とほぼ同じ意味で「ぶっちゃけ」って言葉もよく使うんだって。
最近のテレビなんかでは、むしろ「ぶっちゃけ」の方がよく聞くかも。
しょうみの使い方を例文で完全マスター!
それでは次に関西弁の「しょうみ(正味)」の使い方について詳しく見ていきましょう。
以下、例文を挙げていきます。
しょうみ、私のこと、どない思てんのん?
(標準語訳:正直なところ、私のこと、どう思っているんですか?)
ちょっと、気の強い女の子は、こんな感じの、どストレートな告白してますねえ。
しょうみ、嫌い。
(標準語訳:正直なところ嫌い。)
これは、ちょっと枕詞的な使い方。
別に「嫌い」ですむところを、わざわざ「しょうみ嫌い」とかいう言い方をすることが多いです。
しょうみ、めっちゃ、タイプ。
(標準語訳:正直なところ、すごくタイプ)
こういう使い方の場合は「めっちゃ、タイプ」という部分を強調するようなニュアンスもあります。
しょうみ、うまいこといきそうなん?
(標準語訳:正直なところ、うまくいきそうなんですか?)
これは「言いにくいかもしれんけど、正直なところを聞かせて」という意図の王道的な使い方です。
さらに関西人が「しょうみ(正味)」を標準語の意味で使う場合の例文も挙げておきます。
しょうみの社長は奥さんや。
(標準語訳:実質的な社長は奥さんです。)
陰口をたたく場面でありがちな使い方。
しょうみ、あと1週間もないで。
(標準語:実質的にはあと1週間もありませんよ。)
余裕をかましている奴に行動を促す場面で。
私道負担部分、除いたら正味、60平米ほどですわ。
(標準語訳:私道負担部分を除くと実質、60平米ほどです。)
関西の不動産屋は、しょうみという言葉が大好き。
ちょっとした立ち話の最中でも「しょうみ」「しょうみ」と何回も言っている気がします。
まわりくどいこと言わんと、しょうみな話しいな。
(標準語訳:回りくどい話をしないで本題を語って下さい。)
なかなか話の核心を語らない相手に。
関西人はいらち(気が短い人)が多いため、こういう使い方も頻繁にします。
おまえ、しょうみ、あかんやつやな。
(標準語訳:君は本当にダメなやつだな。)
ほとほと、相手にあきれ果てた時に。
関西人はそれでも見捨てないことが多いんですけどね。
※「あかん」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご確認下さい。
「あかん」という言葉の意味等について関西弁ネイティブが豊富な例文を交えて解説しています。さらに、「あかん」という言葉が、もともと、どこの方言で現在、どのような地域で使われているのかや、その語源などについても紹介していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
以上、関西弁の「しょうみ(正味)」および関西人の使う標準語の「しょうみ(正味)」の使い方の例文でした。
「しょうみ」って言葉を本当に色んな場面で使うんだね。
しょうみはどこの方言?
関西弁での「しょうみ」は、近畿圏ではほぼ、全域で使われています。
ただし、その試用頻度にはかなり差があり、特に大阪の人は、合いの手か何かのように、ほぼ毎日のように使用しています。
その点を考慮し、本考察では関西弁での「しょうみ」は一応、大阪の方言であると結論づけることと致します。
と結論付けた後に言うのもなんなんですが、京都の人も結構、使うんですよねえ。
でもまあ、大阪人の方が圧倒的に使用頻度が高いので、やっぱり関西弁での「しょうみ」は大阪の方言と言うことで。
まとめ
今回、関西弁での「しょうみ(正味)」という言葉の意味や使い方を検討してみて、あらためて感じたのが「関西人、中でも特に大阪人は、どんだけ、しょうみって言葉に依存してんねん。」ということです。
関西弁での「しょうみ(正味)」の意味を考えると、本来的には聞きにくいことを聞かざるを得ない場面でこそ使うような言葉じゃないですか。
でもね、そういった特殊な場面に限らず、どんな会話の中でも、本当、枕詞のように気軽に「しょうみ」「しょうみ」と言っているんですね。
「しょうみ500円」
「しょうみ遅刻」
「しょうみ晩飯、食うてない」
「いや、ほんま、かなわんでー。しょうみの話」
ひょっとすると「しょうみ」という言葉を使用禁止にしたら、大阪人、ちょっとだけ無口になるかも。
いや、ならんか、黙っとったら息止まる人種やからなあ。(笑)
まあ、なにしろ、それぐらい大阪人は「しょうみ」という言葉が大好きだと言うことです。
「しょうみ」と言えば、思い出すのが漫才コンビ、やすし・きよしのやすしさん。
毎回ネタの中で「しょうみの話」「しょうみの話」って言ってたもんね。
今も「しょうみ」という言葉が大阪人に広く愛されていることを草葉の陰で喜んでいらっしゃるんじゃないかな。
※当サイトでは関西弁を中心に様々な言葉の意味等について紹介しています。関西弁に興味のある方は是非とも合わせてご覧になって下さい。
⇒言葉の意味等の記事一覧はコチラ