先日、クライアントとの電話でのやりとりの中で昨年末にM-1王者に輝いた錦鯉の話になりました。
クライアント:「50歳でのブレイクって、すごく夢がありますよね。ちょっと勇気をもらった感じがします。」
私:「たしかに夢はありますよね。でも錦鯉って全然、おもんないでしょ。僕はオズワルドの方がおもろかった気がするんですけどね。」
クライアント:「ん?「おもんない」って、面白くないってことですか?いや、関西弁で面白くないは「おもろない」ですよね?」
おお、またしても関西弁と標準語の壁を発見してしまいました。
これぐらいは普通に通じるだろうと思っていたのですが、やはり微妙に疑問を感じる方もいらっしゃるみたいですね。
そこで本日は関西弁「おもんない」の意味と使い方について簡単に紹介していきたいと思います。
例文のほか、大阪人にとっての「おもんない」という言葉の重さなどについても触れていくつもりですので、興味のある方は、是非、しばらくの間、お付き合い下さい。
それでは、早速、いきまっせ!
やっぱり、関西弁って、ちょっと、わかりにくいところがあるよな。
今回も勉強させてもらおうっと。
おもんないの意味は?
おもんないの意味は標準語における「面白くない」と全く同じ意味です。
つまり
- 笑えない
- 楽しめない
- 興味が持てない
- 不快に感じる
といった意味ですね。
関西弁では「おもんない」という言い方の他に「おもろない」という言い方もよくしますが、意味としては全く同じです。
関西芸人の中では最も注目を集める、ダウンタウンの浜田・松本共に「おもんない」より、「おもろない」の方をよく使うので、全国的には「おもろない」の方がメジャーになっているかもしれませんね。
言葉の変化の過程としては「面白くない」→「おもろない」→「おもんない」となったものと推察されます。
つまり、「おもんない」は「おもろない」が、より柔らかく、なまったものと言うことができそうです。
ちなみに標準語で「面白くない」とほぼ同じ意味で「つまらない」という言葉を使うのと同様に関西弁では「おもんない(おもろない)」とほぼ同じ意味で「つまらん」という言葉を使うんだって。
おもんないの使い方を例文でマスター
それでは、次に「おもんない」という言葉の使い方を例文を通じて見ていきましょう。
一応、標準語訳も付けておりますので、合わせて参考にして下さい。
お前、ほんま、おもんないなあ。
(標準語訳:お前、本当に面白くないね。)
「笑えない」という意味での使用事例。
芸人と大阪人にとっては致命傷となるセリフ。
※「おもんない」を含めて関西弁の悪口をまとめてみました。興味のある方は合わせて、ご覧になって下さい。
関西弁の悪口一覧を掲載しています。関西弁歴半世紀の大阪人が定番の悪口からややマニアックな悪口まで、思いつく限り、徹底的に紹介していますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
やめとけ、やめとけ、この映画、全然、おもんなかったから。
(標準語訳:やめとけ、やめとけ、この映画、全然、おもしろくなかったから。)
「楽しめない」という意味での使用事例。
大阪人はこういう自分の感想の押し付けみたいなことをよくやる。
物理の授業なんか、なんも、おもんないやろ。
(標準語訳:物理の授業なんて全然、おもしろくないでしょ。)
「興味が持てない」という意味での使用事例。
ちなみに関西人は、この手の固定観念を抱きがち。
なんで、そんな大事なこと、俺に言わへんねん。なんか、おもんないわあ。
(標準語訳:なんで、そんな大事なことを俺に言わないんだよ。なんか、面白くないなあ。)
「不快に感じる」という意味での使用事例。
大阪人は結構、人に対する依存度が高い。
内緒にされたり、仲間外れにされたりすることに意外なほどセンシティブ。
使い方としては標準語の「おもしろくない」と完全に一緒だね。
大阪人にとっておもんないという言葉は重い。
ここからは、ちょっと長い余談です。
「あの子はたしかに男前やし、頭もめちゃくちゃ、ええと思う。
まあ、ええとこの子やし性格かって、ええんちゃう。
でもな、おもんないねん。」
もしも、あなたが同年代の女性から、こんな風に評されていることを知ったら、どう感じるでしょうか?
たしかに面白くないとは指摘されているものの、それ以外の点については全面的にほめられている。
たぶん、うれしいですよね。
少なくとも傷つきはしないはずです。
でもね、関西人、特に大阪人はこう言われると、それこそ、ハンマーで頭をぶっ叩かれたようなショックを受けます。
人によっては、ちょっと鬱気味になって「俺って、おもんない?」って周囲の人に聞いて回るぐらいかもしれません。
なぜだと思います?
他地域にお住いの方には、たぶん、わかりにくいことだと思いますので、早速、答えをお伝えしますね。
大阪人にとって「おもんない」という言葉は、他にどんな誉め言葉を添えられてもリカバーしようのない全否定の言葉だからです。
大阪人はそれこそ、遺伝子レベルで「おもろい」ということに、とてつもない価値を置く人種です。
普段の会話でさえ「オチ」がなかったら「ほんで?(標準語訳:それで?)」と聞き返される。
それぐらいに「おもろいか、おもんないか」に全部を捧げている人たちなので、「おもんない」と評された日には立ち直りようがないくらい、へこむことになるのです。
たとえば、大阪人以外の人に「お前って本当に人間のクズだよね。」などと言えば「まあ、おもしろいけど。」というフォローをしたところで、たぶん、人間関係は終わってしまうと思います。
でも大阪人相手なら「お前って、ほんまに人間のクズやな。っていうか、ゴキブリ以下。」などと、えげつない悪態をついたところで「まあ、おもろいけどな。」という一言があるだけで丸く収まってしまうんですね。
一言で全部チャラ。
普通に笑って終しまいです。
しつこいようですが、それぐらいに大阪人にとっては「おもろい」という評価を受けることが圧倒的に重要なんです。
ですので、大阪人を喜ばせたいのなら、どんな美辞麗句を並べるより「めっちゃ、おもろいなあ。」と言っておきましょう。
確実に上機嫌になります。
逆に縁を切りたいとか、怒らせたいとかいった事情がない限り、大阪人に対して「おもんない」とは決して言わないことです。
たぶん、とてつもなく落ち込ませることになりますので。
以上、大阪人にとっての「おもんない」という言葉の重さについてのお話でした。
なんか、すごく納得のいく話。
大阪の人って、たしかにおもしろいって言われることに命、かけてるもんね。
まとめ
- 関西弁「おもんない」の意味は標準語「面白くない」と全く同じ。
つまり、①笑えない②楽しめない③興味が持てない④不快に感じる、といった意味である。 - 「おもろい」ということに特別な価値を置く大阪人にとって「おもんない」というのは自らの存在を全否定する言葉に等しい。
大阪人とうまく付き合っていきたいなら「おもんない」という言葉を決して使わないこと。
大阪人のおもろいとか、おもんないとかいうことに対する独特の価値観については、ちょっと、驚かれた方がいらっしゃるかもしれませんが、だからといって大阪人に対して特別な警戒心を抱いたりする必要は全くありません。
とりあえず「おもろいなあ」とさえ言っておけば、機嫌がいいわけですから、これほど扱いやすい人種は逆に他にあまりいないとさえ言えると思います。
ですから是非とも大阪人を見かけたら積極的に関わってやって下さい。
ほとんどの大阪人が諸手をあげて喜びますので。
はい、大阪人は人間大好きなのです。
たとえ、初見での印象があまりよくなくても、とりあえず、「○○さんって、めちゃめちゃ、おもろいですよね。」とさえ言っておけば、「こいつ、わかってるやん」となり、大阪人があなたに大きな好意を抱くことは間違いありませんので、大阪人との付き合い方の重要ルールとして是非とも覚えておいて下さいね。
以上、今回は関西弁の「おもんない」という言葉の意味等についてお伝えしました。
なるほど「○○さんって、めちゃめちゃ、おもろいですよね。」と言っておけば、いいわけね。
上司や先輩が大阪人という場合に試してみようっと。
※当サイトでは「おもんない」以外にも関西弁を中心に様々な言葉の意味等について紹介しています。関西弁に興味のある方は是非ともご覧になって下さい。