まいど、コテコテ関西人やっせです。本日は「ぎょうさん」という言葉の意味等について紹介致します。
「ぎょうさん」という言葉についてはテレビ等で関西芸人たちがみんなこぞって使っていますので、関東の方であっても「聞いたことはある」という方が多いのではないでしょうか。
ただ、その意味については、「イマイチよくわかっていない」という方もいらっしゃるのではないかと思い、今回、このサイトで紹介させて頂くことに致しました。
関西以外にお住いの方にも「ぎょうさん」という言葉の意味等をスッキリとご理解頂けるよう、丁寧に、なおかつ、ユーモアを持って解説させて頂くつもりですので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
ほな、早速、行かせてもらいまっせ~!
これは、さすがに知ってるよ。今田耕司なんかがよく、使ってるよね。
ぎょうさんの意味とは?
関西においてよく使用されている「ぎょうさん」とは
たくさん
を意味する言葉です。
たとえば「唐揚げぎょうさん、作ったからお腹いっぱい食べてや。」みたいな感じで使うわけです。
ちなみにweblio辞書では以下のような解説がなされています。
1 言動や物事が大げさなさま。「—ないでたちで現れる」「—な身ぶりで話す」
引用元:weblio辞書
2 程度や数量のはなはだしいさま。副詞的にも用いる。「—なおみやげをいただきまして」「今日は—釣れた」
なるほど、もともとは1のような意味もあるのですね。
ただし、少なくとも現代において関西人が使う「ぎょうさん」というのは99.9%、2の意味、すなわち、「たくさん」という意味です。
というか、1のような意味や使い方があることを、ほとんどの関西人が知らないと思います。
したがって関西人が「ぎょうさん」と言ったら、迷わず「たくさん」ということを言っているのだなと考えてもらって結構です。
ちなみに「ぎょうさん」は漢字では「仰山」と書きます。
これは、大げさな様を意味する「仰々しい」という言葉からヒントを得て当て字されたものですね。
仰ぐ(あおぐ)山の方が、よっぽど、直接的に「たくさん」という感じがしますが、そういった謂れや由来みたいなものがあるわけでは、ありませんので誤解されませんように。
ぎょうさんの同義語
関西では「たくさん」を意味する言葉として「ぎょうさん」以外にも「ようさん」や「ようけ」などといった言葉も使用されています。
特に意味的な違いがあるわけではありませんので、いずれの言葉についても、なにしろ「たくさん」のことを言っているだなと思ってもらえれば、それで結構です。
なお、「ようけ」という言葉については以下の記事で詳しく解説していますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
「ようけ」という言葉の意味や、どこの方言であるか、などについて関西弁歴半世紀の大阪人が解説しています。意味の理解が深まるよう、「ようけ」という言葉を用いた関西弁の例文なども紹介していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
たくさんという意味の言葉だけで、随分、色々とあるのね。
ぎょうさんを使った例文
ここでは「ぎょうさん」という言葉を使った関西弁の例文をいくつか紹介致します。実際の会話を想定した例文を見ることによって、さらに「ぎょうさん」という言葉に対する理解が深まることになると思いますので、是非ともご覧になって下さい。
また、ぎょうさん、こうてきたなあ。置くとこあれへんがな。
(標準語訳:また、たくさん、買ってきたなあ。置くところがないよ)
「ぎょうさん」のオーソドックスな使い方。
「ぎょうさん、買う」「ぎょうさん、食べる」「ぎょうさん、歩く」といった感じで副詞的に使用します。
今日、梅田、寄っていけへん?
(標準語訳:今日、梅田に寄っていかない?)
今日はあかんわ。めちゃめちゃ、ぎょうさん宿題出てねん。
(標準語訳:今日はダメだわ。ものすごく、たくさん宿題が出てるのよ。)
「めちゃめちゃ」を副詞的に使用して「ぎょうさん」の程度を強めている文例。
ちなみに「めちゃめちゃ」は単体でも「たくさん」の意味になることがあります。
例:めちゃめちゃ宿題、出てんねん。(標準語訳:たくさん宿題が出てるのよ。)
えらい、ぎょうさん、人来てくれはったんやなあ。おじいちゃんのお人柄やわあ。
(標準語訳:すごく、たくさん、人が来てくださったのね。おじいちゃんのお人柄だわ。)
こちらは「えらい」を副詞的に使用して「ぎょうさん」の程度を強めている文例。
えらいも単体で「たくさん」に近い意味合いになることがあります。
例:えらい行列やな。(標準語訳:すごい(たくさんの人の)行列だね。)
「めちゃめちゃ、ぎょうさん」とか「えらい、ぎょうさん」とかって、なんだか、とんでもなく、たくさんな感じがするよね。
ぎょうさんはどこの方言?
「ぎょうさん」という言葉は辞書で調べても特に「~の方言」といった注釈なしに掲載されています。つまり、「ぎょうさん」という言葉は方言ではなく、共通語であるということです。
ただ、近代になって、関東では、ほとんど使われなくなり、その一方で関西では使用が継続されました。
その結果、もともと関西地方の方言であったものと誤解されるような状態になってしまっているということです。
ちなみに今、現在において「たくさん」という意味で「ぎょうさん」という言葉を使用している地域は次のとおりになっています。
- 中部地方(愛知県・岐阜県)
- 近畿地方(京都府、大阪府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)
- 中国地方(岡山県)
個人的には愛知県でも使用されているというのが、ちょっと、意外な感じがしています。実は私、かつては転勤族で愛知県でも働いていたことがあるのですが、周囲の人が「ぎょうさん」という言葉を使っていたという記憶がないんですよね。
まあ、愛知県と言っても東西で結構な距離がありますので、名古屋等のある西部では使用されているということなのかもしれません。
えっ「ぎょうさん」って標準語なの?ちょっとビックリ。
まとめ
- 関西において使用される「ぎょうさん」とは「たくさん」を意味する言葉である。漢字では「仰山」と書く。
- 関西では「たくさん」を意味する言葉として「ぎょうさん」以外にも「ようさん」や「ようけ」などといった言葉も使用されている。
- 「ぎょうさん」という言葉は方言ではなく、標準語である。ただ、現代においては関東ではほとんど使用されなくなってしまったため、関西地方の方言であると誤解されるような状態になってしまっている。
ちなみに「ぎょうさん」という言葉は割と年齢層の高い人の使う言葉で30代以下の人は、あまり使いません。このあたりのことは以前、紹介した「ようけ」なんかとも同じことですね。
じゃあ、30代以下の人たちはどんな言葉を使っているのかと言うと「たくさん」と「めっちゃ」という言葉らしいです。
「めっちゃ」というのは「めちゃくちゃ」から派生した言葉ですね。たとえば「めっちゃ、食べた」とか「めっちゃ歩いた」とかいった感じで使うわけです。
廃れる一方の印象がある関西弁ですが、こうして新たに生まれた言葉もある。関西弁を愛する者としては、ちょっと胸を撫でおろすことができる、うれしい話です。
以上、今回は「ぎょうさん」という言葉の意味等についてお伝えいたしました。
当サイトでは「ぎょうさん」以外にも様々な言葉の意味等についてお伝えしています。結構、面白い記事も多いと思いますので興味のある方は是非、合わせてチェックして下さいね。