こんにちはコテコテ関西人やっせです。本日はネット上などでもよく見かける関西弁は怖いとか、怖くないとかいう論争について私なりの意見を書かせてもらいたいと思います。
「関西弁は怖い」とおっしゃる方がいらっしゃるということは、そうおっしゃるだけの理由というのが必ず、存在するはずです。まずは、その理由を確認し、それを踏まえた上で、なるべく公正に、かつユーモアをもって私なりの考えをお伝えしていこうと思いますので興味のある方は是非とも最後までお付き合いさい。
ほんなら、早速、行かせてもらいまっせ~!
たしかに関西弁に対しては、ちょっと怖いという印象があるかも。
関西弁の怖い言葉を一挙紹介!
関西弁が怖いと言われる最大の理由はなんと言ってもその暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉の数々でしょう。ここではその中でも特にわかりやすく怖い言葉を例文付きでご紹介したいと思います。
しばく
意味:痛めつける・痛い目に合わせる
このガキ、なめた口、ききやがって。しばきあげるぞ。
(標準語訳:このガキ、なめた口、ききやがって。痛い目に合わせるぞ。)
しばくは、単に「しばくぞ」と言うほか、より痛い目に合わせるぞ、という意味で「しばきあげるぞ」「しばきまわすぞ」などとも言います。
なお、「しばく」については「茶をしばく(お茶を飲む)」などという、ちょっと変わった使い方もします。
※「茶をしばく」という言葉の詳細については、こちらの記事をご参照ください。
関西弁「茶をしばく」という言葉の意味等について、関西弁歴50年の大阪のおとんが、お伝えしています。関西以外の方にもすんなりとご理解頂けるよう、例文などを用いつつ、なるべくわかりやすく解説していますので、興味のある方は是非とも、ご覧になって下さい。
いてまう
意味:痛めつける・痛い目に合わせる
お前、ほんま最近、調子のっとんなあ。いてまうぞ。
(標準語訳:お前、ほんと最近、調子に乗ってるよね。痛い目に合わせるぞ。)
意味的には「しばく」とほぼ同義です。ただ「しばく」は友達同士の間で冗談で「お前、しばくぞ」などと割と気軽に使われることがあるのに対し、「いてまう」については、そういった使い方はほぼ、しません。
なお、「いてまう」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご参照ください。
「いてまうぞ」の意味等について関西弁歴50年の大阪のおとんがコッテリ解説しています。他県民の方にもすんなりご理解頂けるよう、例文を用いて解説していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
いてこます
意味:痛めつける・痛い目に合わせる
ほんま、こいつむかつくわあ。いてこましたろか。
(標準語訳:ほんと、こいつむかつくわあ。痛い目に合わせてやろうか。)
「しばく」「いてまう」とほぼ同義です。ただし、ふるわれる暴力の程度は「しばく」や「いてまう」より強くなるものとされています。
残念ながら、私自身も吉本新喜劇のセリフ以外では使われているのを聞いたことがない言葉です。
どつく
意味:殴る
お前、あんまり、いちびっとたら、どつかれんぞ。
(標準語訳:お前、あまり、ふざけた態度をとっていたら、ぶん殴るぞ。)
「しばく」「いてまう」「いてこます」があらゆる暴力を含むものであるのに対し「どつく」は単に殴ることだけを意味します。
なお「どつく」についても、何度も殴るという意味で「どつきまわす」などという言い方をします。
ぬかす
意味:言う
このガキ、何、眠いこと、ぬかしとんねん。
(標準語訳:このガキ、何を眠いことを言ってるんだ。)
「ぬかす」は「言う」ということを卑しめる言い方です。
相手の言っていることを到底、承服できない場合などに使います。
さらす・しさらす
意味:相手・あるいは第三者の行動を卑しめる動詞もしくは補助動詞
おのれはなめたマネしさらしやがって。
(標準語訳:お前はなめたマネをしやがって。)
相手・あるいは第三者の行動について到底、承服できない場合に、その行動を卑しめる意図を持って使用します。
なお、例文で登場している「しやがる」という言葉も標準語における相手・あるいは第三者の行動を卑しめる言葉ですね。このように「さらす」と「しやがる」を重ねて使用することによって、行動を卑しめる意図をより強めているものと考えられます。
くさる・しくさる
意味:相手・あるいは第三者の行動を卑しめる動詞もしくは補助動詞
おのれは何しくさっとんのじゃ。そないにしばきまわされたんかい。
(標準語訳:あなたは何てことをしてくれたんだ。そんなに痛い目にあいたいのか。)
意味としては「さらす・しさらす」とほぼ同義です。
ただし、相手や第三者の行動を卑しめる意図は「さらす・しさらす」以上に強くなります。
けつかる
意味:相手・あるいは第三者の行動を卑しめる動詞もしくは補助動詞
何ぬかしてけつかるねん。
(標準語訳:何てことを言うんだ。)
意味としては「さらす・しさらす」「くさる・しくさる」とほぼ同義ですが相手や第三者の行動を卑しめる意図は「さらす・しさらす」「くさる・しくさる」以上に強くなります。
私自身はお笑い芸人以外が使っているのを聞いたことがありません。
なお「けつかる」という言葉の詳細については以下の記事をご参照下さい。
こんにちは、コテコテ関西人やっせです。本日は「けつかる」という言葉の意味等についてお伝え致します。 テレビを見ていると明石家さんまなどの関西出身の芸人がちょくちょく「何してけつかる」などと言っているのを聞くことがあると思 …
おのれ
意味:あなた
おのれの都合なんか、聞いてへんのじゃ。
(標準語訳:お前の都合なんて聞いてないよ。)
怒りながら話をする際に相手のことを「おのれ」という言い方をします。
時代劇などを見ていると、追い詰められた武士などが「おのれ~」などと言っていますよね。あの「おのれ」の使い方が関西では細々とではありますが、いまだに残っているということです。
われ
意味:あなた
われ、相手、見てものいわんかい。
(標準語訳:お前、相手を見てものを言いなよ。)
意味としては「おのれ」とほぼ同義です。
ただし、いわゆる河内弁に属する言葉であるため、使用地域はかなり限定されます。八尾市や東大阪市あたりで年配の方の話に耳を傾けると生の「われ」を聞くことができるかもしれません。
うわあ、やっぱり、こうやって見ると関西弁にはマジで怖い言葉が多いよね。「しばきまわす」とか言われたら、泣いちゃいそう。
映画やテレビの影響も
上記のとおり、関西弁には暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉がたくさんあるわけですが、怖いと言われる理由はそれだけではないでしょう。
おそらく映画やテレビドラマの影響が非常に大きいのです。
ここでちょっと、映画やテレビドラマに登場する関西弁を話す人物をイメージしてみて下さい。イメージできましたか?
その関西弁を話す登場人物は暴力団員や借金取りのような、いわゆる怖い人だったのではないでしょうか?たぶん、そうですよね。
それもそのはず、映画やテレビドラマで登場する関西弁を話す登場人物は、ほぼ怖い人という設定になっているからです。
で、怖い人という設定の役を演じる役者さんは当然、関西の普通の人のようには話しませんよね。関西の怖い人のように話すわけです。
つまり、映画やテレビドラマで耳にすることになる関西弁は普通の人の使う関西弁でなく、怖い人の使う、もっと言うと怖い人だけが使うような関西弁であることが圧倒的に多いのです。
これでは関西弁=怖いというイメージを持たれる方が多くなるのも致し方ないことですよね。
言われてみれば、映画とかテレビドラマに出てくる関西人って怖い人ばかりだよね。私の関西弁は怖いという印象も、そういったものの影響が結構、強いのかも。
本当に関西弁は怖いのか?
ここまで取り上げてきたような事情を踏まえれば、関西以外の方から、関西弁が怖いと言われてしまうのはある意味、当然のことなのかもしれません。
しかし、それでも私はあえて言いたい。関西弁が怖いなどというのは完全な誤解です。
まずは関西弁は暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉が多いという点について。
たしかに関西弁に暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉が多いというのは事実です。関西は飛鳥時代以降、様々な形で文化が育まれてきた土地なので古くから使われてきた言葉が必然的に多く、その量に比例するように暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉もどうしても多くなってしまいます。
でも、それと同じくらいに柔らかくて、ほんわかするような言葉も多いんですよ。たとえば「まいど」とか「おおきに」とか「おこしやす」とかいったものです。
それなのに、どうしても暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉ばかりが取り上げられてしまいます。そういった言葉の方がインパクトがあるので話題にしやすいのでしょうね。
もう少し関西弁の柔らかく、ほんわかするような言葉にも目を向けてもらいたいものです。そうすれば、きっと、関西弁の良さも、もう少し認識してもらいやすくなるはずです。
さらに言うと上で紹介したような暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉なんて、現代においては、普通の人はまず使用しません。使用するのは、ごく一部の本当に怖い人か、大人になりきれず、いい歳して、いつまでもヤンキーを引きずっている人ぐらいのものです。
実際、私自身も上で紹介したような怖い言葉は、ほとんど使ったことがありません。「しばく」とか「どつく」ぐらいは使ったことがありますが、それも、ちょっと悪ぶってみたい盛りの中学生ぐらいの時の話です。
『関西弁に怖い言葉が多いというのは事実だけれど、実際にはほとんど使用されていないので、そういった言葉の存在が関西弁を怖いもにしてしまうはずがない。』
少なくとも私は、そう考えています。
次に映画やテレビドラマの影響について。
この点については特に、色々と申し上げる必要もないでしょう。
映画やテレビドラマに出てくる関西弁を話す人物=関西人は、大抵、怖い人という設定になっていますが、現実の関西人は99%以上が普通の人です。
で、普通の人ですから、映画やテレビドラマに出てくる怖い関西人が使うような怖い関西弁は使わず、普通の柔らかい関西弁を使います。
したがって関西弁で話されても、まず、怖いなどと感じることはないはずです。
ひょっとすると、現実に知っている関西人が使っている関西弁を怖いと感じたことがあるという方がいらっしゃるかもしれません。
でも、それはたぶん、その関西人の個人的な問題ですよ。
たぶん、ものすごく気の小さい人で、なめられたくない一心で、ついつい周囲の人に対して威圧的な言葉を使ってしまっているのです。
ああ、大都会、東京に出てきて、気負ってしまっているんだなあと大目に見てやって下さい。
長くなってしまったので、ここまでの重要ポイントをまとめます。
- 関西弁に怖い言葉が多く存在するのは事実だが、大多数を占める普通の関西人は、現状、そういった言葉をほとんど、使わない。
- 映画やテレビドラマに出てくる関西人は、大抵、怖い人という設定になっているから、怖い関西弁を使っているだけ。現実の関西で普通の人が使っている関西弁は、そんなに怖いものではありえない。
- ときどき、東京などで、気の小さい関西人が威圧的な関西弁を使っていることがあるが、それは個人的な問題。なめられたくない一心で気負っているだけ。
以上のようなことから私は普通の人が使う普通の関西弁は決して怖いものではないですよと申し上げているわけです。
ちょっと、話があっちこっちに飛んでまとまりのない文章になってしまいました。ごめんなさい。
私の主張にたとえ一つでも共感して頂ける部分がありましたら、関西弁を話す者の一人としてこれほど、うれしいことはありません。
なるほど、僕自身の中にも関西弁というものに対する誤解が結構、あるのかもしれないな。もう少し公正な目で見ないとダメだね。
まとめ
- 関西弁が怖いと言われる理由の一つに関西弁には暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉が多いということが挙げられる。関西弁の暴力的・威嚇的・侮辱的な言葉の代表的なものとしては「しばく」「いてまう」「いてこます」「どつく」「ぬかす」「さらす・しさらす」「くさる・しくさる」「けつかる」「おのれ」「われ」などがある。
- 他に関西弁が怖いと言われる理由の一つに映画やテレビドラマの影響があるものと考えられる。映画やテレビドラマで登場する関西人は、ほとんどの場合、怖い人という設定になっているからである。
- 普通の関西人が使う普通の関西弁は決して怖いものではない。メディアなどで取り上げられがちな怖い関西弁は普通の人はまず使わない。
ちなみに私自身は逆に関東の言葉というか、標準語が怖いと感じしてしまうことがあります。なんというか、突き放されたような冷たさを感じてしまうんですよね。
で、「あれ、なんか怒ってる?」と変に勘ぐってしまったりするのです。
ところが思い切って「なんか怒ってはります?」などと聞いてみると大抵、「いえいえ、全然、そんなことないですよ」という答えが返ってきたりします。
要するに関東人の使う言葉のニュアンスや関東におけるコミュニケーションのあり方に対する不理解が私に標準語を怖いものと錯覚させてしまっているだけなんですよね。
「わかってしまえば怖くも何ともない。」
これは関西以外にお住まいの方にとっての関西弁についても、そのまま、当てはまることだと思います。
だから関西弁を怖いものと感じられている方、関西弁からひいてしまうのではなく、逆に是非、一歩前に近づいてみて下さい。
関西弁の実際について、知って頂ければ、きっと、関西弁は怖いものという認識も少しづつ、緩んでいくはずだと思いますので。
関西弁をこよなく愛するおっさんよりの心からのお願いです。
以上、今回は「関西弁は怖い」とのご意見に対する持論をお伝えさせて頂きました。
長文、最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございます。
当サイトでは様々な言葉の意味等についてご紹介しています。結構、面白い記事も多いと思いますので興味のある方は、合わせてチェックしてみて下さい。