大阪で人に道を尋ねると、よくこんな感じの答えが返ってきます。
「この道、ぶわぁーっていくねん。
ほな、どんつきなるから、それピッと右に曲がって、また、ぶわぁーと行って、また、どんつきなるから、それをキュッと左に行ったら、すぐ右手に看板、見えてくるわ。
今度はどんつきまで行ったらあかんで。
行きすぎやから。」
大阪人同士はこれで話が通じるのですが、よそから、来られた方は、何を言っているのか、ほとんどわからないですよね。
まず、ぶわぁーとか、ピッとか、キュッとかいう表現は無視してもらって構いません。
なんとなくの勢いを表現するだけの特に意味のない言葉ですので。
しかしながら「どんつき」という言葉の意味は知っておかなければなりません。
この「どんつき」という言葉の意味を知らないと、大阪人の道案内では、どこにもたどりつけませんので。
そこでこの記事では、あなたが大阪人の道案内を受ける機会に備えるべく、どんつきという言葉の意味するところについて、なるべくわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
近々、仕事や観光で大阪に来る予定がおありになる場合には是非とも参考にして下さいね。
あと、大阪人は「どんつきまで行く」と言うときに「ずどんと、どんつきまで行く」という言い方をよく使います。
この「ずとんと」にも特に意味はないので、あまり気にしないように。
どんつきの意味とは?
どんつきとはズバリ、道が突き当たる場所のことを言います。
ネット辞書の権威、weblio辞書さんでの解説も一応、引用させて頂きますね。
どんつき【どん突き】
引用元:weblio辞書(デジタル大辞泉)
道などの行きづまった所。突き当たり。
語源については、個人的な見解にはなりますが、おそらくは「どんと突き当たる(場所)」という言葉ではないかと思われます。
「どんと突き当たる(場所)」だから、縮めて「どんつき」と表現されることになったのでしょう。
大阪人は「どんと突き当たったら右に行く」というような言い方もするんですって。
どんつきの使い方を例文でご紹介
わかりやすい言葉なので、あまり必要ないかもしれませんが、一応、どんつきという言葉の使い方について例文を挙げてご紹介しておきます。
次のどんつきを右折して、3キロほど道なりに進んで下さい。
○○商店街のどんつきにパン屋さんあるから、そこの前で待ってって。
あと、時々ですが、どんつきを比喩的にこういう使い方をされる方もいらっしゃいます。
ほんま、ワシの人生、どんつきよ。
この場合、右にも左にも行けないどんつき、つまり、行き止まりの状態のことを、表しているものと考えられます。
比喩的に使われることもあるのか。
それだけ大阪の人にとっては馴染みのある言葉ってことだね。
どんつき完全図解
次にどんつきの4つのパターンを図解で紹介しておきます。
①右折も左折も可能なパターン
右折も左折もできるパターンのどんつきです。
特段のことわりなく単にどんつきという場合、通常、この状態を意味します。
②右折のみ可能なパターン
右折しかできないパターンのどんつきです。
この状態の場合、大阪人でも、どんつきという言葉を使わずに「クランク」などと表現する人も多いです。
③左折のみ可能なパターン
左折しかできないパターンのどんつきです。
この状態の場合、②のケースと同様に大阪人でも、どんつきという言葉を使わずに「クランク」などと表現する人も多いです。
④右折も左折もできないパターン
右折も左折もできないパターンのどんつきです。
この状態の場合、どんつきではなく「どんづまり(詰まり)」という表現を使う人も多いです。
基本的には①の状態を想像すればいいのね。
どんつきはどこの方言?
どんつきは、現在では京都・大阪・兵庫などの近畿圏をはじめ、かなり広い地域で使われている言葉のようですが、もともとは、どこの方言なのでしょうか。
この点については、諸説あるようですが、どうやら京都の方言だったという説が最も有力なようです。
まあ、京都であったか、どうかは別にしても、昔から、ある程度の都会であった場所であることは間違いないでしょう。
田舎では、そもそも道が少なく、どんつきが生じるようなことも、ほとんどなかったでしょうから。
「どんと突き当たる」という擬音語交じりの表現は大阪人っぽい気もしないことはないですが、本記事では一応、通説にのっとり、「どんつきは、もともと、京都の方言である」と結論づけておきたいと思います。
1000年の都、京都の言葉を方言呼ばわりするのも、なんだか、変な感じがするけどね。
まあ、少なくとも、今となっては方言の一つということで。
※当サイトでは「どんつき」以外にも様々な言葉の意味等を解説しています。特に関西弁については関西弁歴半世紀の経験を活かして、かなり詳しく解説させて頂いておりますので、興味のある方は是非とも合わせてご覧になって下さい。