こんにちはコテコテ関西人やっせです。本日は関西弁「おおきに」という言葉についてご紹介致します。
関西弁の「ありがとう」を意味する言葉として全国的にも広く認知されている「おおきに」という言葉ですが実はその使用方法や使用状況については、かなりの誤解が生じてしまっているところがあります。
その誤解を解くべく「おおきに」という言葉の真実を関西弁歴半世紀の大阪人が、丁寧にかつ、ユーモアを持ってご紹介していきたいと思いますので、興味のある方は是非とも最後までご覧になって下さい。
ほんなら、早速、いかせてもらいまっせ~!
「おおきに」の真実って何かしら?ちょっと気になる。
基本は「ありがとう」
いきなり結論的な話になってしまうのですが、関西人にとっても感謝の気持ちを伝える言葉の基本は「ありがとう」です。
たとえば、友人同士の会話、家族間での会話、ご近所さん同士での会話などで「おおきに」という言葉を使う人はまず、いません。みんな感謝の気持ちを伝えたい時には「ありがとう」と言います。
じゃあ、「おおきに」という言葉は実際には誰も使っていないのかと言うと、もちろん、そんなことはありません。
学校や家では使うことも、耳にすることも、まず、ありませんが、たとえば商店街あたりに行くと、いくらでも耳にすることができます。
もう、おわかりですね。そう、「おおきに」というのは、商売をしている人がお客さんや取引先に対して使う商人言葉なのです。
もともとは友人間や家族間でも「おおきに」という言葉を使っていたようですが、段々と使われなくなり、結果的に今や商売の現場以外では、ほとんど、使われなくなってしまっています。
関西でも基本は「ありがとう」を使い、商売の場面に限って「おおきに」を好んで使うと覚えておいて下さい。
なるほど「おおきに」は今や商人言葉なんだね。たしかに僕の関西人の友達も普通に「ありがとう」って言ってるもんな。
そもそも「おおきに」に「ありがとう」の意味はなかった?
関西の年輩の商売人の中には単に「おおきに」というのではなく、「おおきに、ありがとう」とか「おおきに、ありがとうさん(ありがとさん)」などと言う方が、たまにいらっしゃいます。
「おおきに」に「ありがとう」という意味があることを考えれば「ありがとう、ありがとう」と言っていることになり、誤用のようにも感じられてしまいますが、実は、これ誤用でもなんでもなく、もともとの正しい使い方なんですね。
もともと関西では「非常に」とか「大変」という意味で「おおきに」という言葉が使われていました。
つまり、もともとは「おおきに」だけでは、感謝の意を伝える言葉、たりえず、「おおきに、ありがとう」とまで言って、はじめて感謝の意を伝える言葉、たりえたのです。
ところが、関西人は「いらち」が多く、何かにつけて、言葉を短くしたがる傾向があります。また、「おおきに」に続ける言葉としては「ごちそうさん」でも「おつかれさん」でもなく、圧倒的に「ありがとう」とか「ありがとうさん」が多かったんですね。
そういった事情があいまって、いつのまにか単に「おおきに」というだけで、「ありがとう」という感謝の意を伝えられることになってしまったのです。
しつこいようですが、「おおきに、ありがとう」とか「おおきに、ありがとうさん」などというのは決して誤用ではありません。
もしも聞く機会があったら、今では稀になってしまった、深々とした真実の感謝の言葉を受け取ったものと、大いに喜んで下さい。
「おおきに、ありがとう」が短縮されて「おおきに」になったということなのね。「ありがとう」をまるまる、とっちゃうなんて、かなり乱暴な短縮の仕方だよね。
「おおきに」を使った関西弁の例文
ここでは「おおきに」を使った関西弁の例文をいくつかご紹介したいと思います。実際の会話を想定した例文を見ることによって「おおきに」という言葉に対する理解がさらに深まることになると思いますので、是非とも参考にして下さい。
おおきに。ほな、また寄せてもらいまっさ。
(標準語訳:ありがとう。そしたら、また寄らせてもらいますね。)
最も基本的な使用方法。
例文のように「おおきに。」と単独で使用することが最も多いと思います。
おおきに、おおきに。社長によろしゅう、言うといてや。
(標準語訳:ありがとう、ありがとう。社長によろしく言っといてね。)
「おおきに」を重ねて使うパターン。
たぶん、クセとか勢いで重ねて使っているだけで、特段、意味はないと思います。
おおきに、ありがとう。おかげさんで助かりましたわ。
(標準語訳:大変、ありがとう。おかげさまで助かりましたよ。)
本来の正しい使い方。
ちなみに私がもう四半世紀も通い詰めている居酒屋の女将は、帰り際、必ず、「おおきに、ありがとう」と言って、見送ってくれます。
おおきに、ごちそうさん。手ぶらで来といて堪忍やで。
(標準語訳:ありがとう、ごちそうさま。手ぶらで来たのにごめんなさいね。)
「おおきに、ごちそうさん」は、もともとの意味でいくと「大変、ごちそうになりました」といったことになるのでしょうが、今は「ありがとう、ごちそうま」という意味で使う人の方が圧倒的に多いと思います。
つまり、関西人の中でも「おおきに」の持つ、もともとの意味が忘れ去られつつあるということです。
なるほど「おおきに」という言葉の使い方がだいぶ、見えてきたぞ。
まとめ
- 関西人にとっても感謝の気持ちを伝える言葉の基本は「ありがとう」である。
- 少なくとも現代において、「おおきに」は、ビジネスの場面以外では、ほとんど使用されない商人言葉である。
- 「おおきに」は「おおきに、ありがとう」が短縮されたものである。もともと「おおきに」には、「非常に」とか「大変」という意味しかなかった。
なお、「おおきに」という言葉について「最近の若い子はまず、使わない」というような話があるみたいですが、私はそんなことないんじゃないか、と思っています。
実際、私がちょくちょく利用させてもらっている飲食店の店員さんなんかは、それこそ20歳、そこそこぐらいの子でも普通に「おおきに」と言ってますからね。
若い子であっても、お客さんのある仕事をしている子たちは、普通に「おおきに」を使っているというのが、実際のところじゃないでしょうか。
まあ、ただでなくても関西弁もいろんな言葉が徐々に使われなくなっているようですので、せめて関西弁を代表する言葉の一つである「おおきに」ぐらいは残っていって欲しいものです。
というか、これは、言っても、言われても気持ちいいし、響きもなかなか、いい言葉なんで、普通に残っていくとは思いますけどね。
以上、今回は関西弁でありがとうを意味する、「おおきに」という言葉の真実について、お伝えいたしました。
当サイトでは「おおきに」以外にも様々な言葉の意味等についてお伝えしています。結構、ためになる記事も多いと思いますので、お時間、許す方は、是非とも合わせてご覧になって下さい。