まいど、コテコテ関西人やっせです。本日は関西人がよく使う「行きしな」という言葉の意味等について紹介致します。
先日、東京在住のクライアントに「長野への行きしなに名古屋に寄る。」という話をしたのですが「長野が何ですって?」と聞き返されてしまいました。
どうやら「行きしな」という言葉に引っ掛かってしまった様子。ひょっとしてこれも関西弁なのでしょうか?
そこで、今回、「行きしな」という言葉について、あらためてしっかりと調べた上で当サイトで紹介してみようと思った次第です。
「行きしな」という言葉を初めて聞いたという方にもスッキリとご理解頂けるよう、丁寧に、なおかつ、ユーモアを持って紹介させて頂くつもりですので、興味のある方は是非とも最後までお付き合いになって下さい。
ほな、早速、行かせてもらいまっせ~!
「行きしな」なんて言葉、初めて聞いたわ。文脈から意味の想像はつくけど。
「行きしな」の意味とは?
「行きしな(ゆきしな・いきしな)」とはズバリ
行きがけ
のことですね。
「行きがけ」という言葉がピンと来ないという方のために、さらにかみ砕いて言うと「行く途中」という意味です。
たとえば友人宅に他の友人と一緒に遊びに行く際に「行きしなにケーキでもこうて行こうや。(標準語訳:行きがけにケーキでも買って行こうよ。)」などと言ったりするわけです。
なお「行きしな」をさらに短縮して「行きし」などと言うこともあります。
ちなみに「行きしな」の反対語(正確には反対語ではないと思いますが)は「帰りしな」ですね。
「~しな」という言葉は他でも使われていて「寝しな」などとも言います。
「行きし」とも言うんだね。これは知らなかったなあ。
「行きしな」を使った例文
ここでは「行きしな」という言葉を使った関西弁の例文をいくつか紹介させて頂きます。
実際の会話を想定した例文に触れることによって「行きしな」という言葉のニュアンスや使い方まで理解することができると思いますので是非とも参考になさって下さい。
ほな、行きしなに飯、くうて行こうや。
(標準語訳:そしたら行きがけにご飯を食べて行こうよ。)
せやな。天一でええか?
(標準語訳:そうだね。天一でいいか?)
うん、ええで。
(標準語訳:うん、いいよ。)
友達同士、車中でお昼ご飯の相談をしている際のやりとり。
ちなみに天一というのは関西で人気のラーメン店「天下一品」の略称です。
※「せやな」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご覧になって下さい。
こんにちはコテコテ関西人やっせです。本日は関西弁「せやな」という言葉について紹介したいと思います。 関西人にとっては、馴染み深く、相槌を打つ際などには、ついつい使ってしまいがちなんですが、私の経験上、関東の方、相手に使っ …
※「ええで」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご覧になって下さい。
「ええで」という言葉の意味やどこの方言であるかなどについて関西弁歴半世紀の大阪人が解説しています。「ええで」を使った関西弁の例文も紹介していますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
あんた、今日、梅田行くんやろ。行きしなにおばあちゃんとこ寄ってたって。
(標準語訳:あなた、今日、梅田に行くんでしょ。行きがけにおばあちゃんのところに寄ってあげて。)
ええ、ムリやて。つれと13時に待ち合わせやもん。
(標準語訳:ええ、ムリだって。友達と13時に待ち合わせだもん。)
ほな、帰りしなでええから。
(標準語訳:そしたら、帰りがけでいいから。)
ムリやって。おそなるもん。
(標準語訳:ムリだって。遅くなるもん。)
ほんま、あんたは優しない子やな。おばあちゃんから、ようさん小遣いもうてるくせに。
(標準語訳:本当にあなたは優しくない子だね。おばあちゃんから、たくさん小遣いをもらってるくせに。)
ありがちな母子の会話。
「行きしな」がダメなら「帰りしな」にというやりとりは結構、よくあると思います。
※「つれ」という言葉の詳細についてはこちらの記事をご確認下さい。
関西弁の「つれ」という言葉の意味等について関西弁歴半世紀の大阪人が紹介しています。標準語の「つれ」という言葉との、意味や使い方に関する違いが明確になるよう、わかりやすさ重視で解説していますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
あんた今から出るんやろ。行きしにポストにこれ、ほりこんどいて。
(標準語訳:あなた今から出るんでしょ。行きがけにポストにこれを入れておいて。)
「行きしな」の短縮バージョン「行きし」を使った例文。
「行きしな」と「行きし」の使用頻度は五分五分ぐらいかと思います。
本当に普段から「行きしな」という言葉を頻繁に使っていそうな感じがする。私たちにとっての「行きがけ」という言葉より、ずっと馴染み深いものなのかもしれないわね。
「行きしな」はどこの方言?
結論から言いますと「行きしな」は方言ではなく、共通語ということになります。
各種辞書にも特に方言であるとの注釈なく記載されていますので共通語であることに間違いありません。
ところが近年、関東地方では「行きしな」という言葉がほとんど使われなくなり、その一方で関西地方では使用が継続されています。
このような状況が「行きしな」は関西弁であるとの誤解を生じさせてしまっているわけです。
ちなみに各種辞書の表記では「行きしな」の読みは「ゆきしな」とされていますが関西人は「いきしな」と発音することが多いです。
また、「行きし」という言葉については、そもそも通常の国語辞書には記載がありません。
このような事情を考慮すれば「ゆきしな」は共通語であるとしても「いきしな」や「行きし」という言葉については関西弁と言えないこともないのかもしれません。
「行きしな」って方言じゃなくて共通語なのか。これは意外な話。ちっとも知らなかった。
まとめ
- 「行きしな(ゆきしな・いきしな)」とは「行きがけ」のことである。
- 「行きしな」をさらに短縮して「行きし」などと言うこともある。
- 「~しな」を使った言葉としては他に「帰りしな」や「寝しな」などがある。
- 「行きしな」は方言ではなく、共通語である。
ちなみに私にとって「行きしな」といって最初に思い浮かぶのがオロナミンCですね。
高校時代から会社勤めをやめるまでの約20年間、毎朝「行きしな」の駅の売店でオロナミンCを飲んでいました。
そう言えば、もう10年以上は飲んでいないかも。
次回、電車でどこかに行く折には、久々に行きしなの駅の売店でオロナミンCを購入して飲んでみようかと思います。
以上、今回は「行きしな」という言葉の意味等についてお伝えいたしました。
当サイトでは「行きしな」以外にも様々な言葉の意味等についてお伝えしています。手前味噌ながら結構ためになる記事も多いと思いますので興味のある方は是非とも合わせてご覧になって下さい。