こんにちは、こてこて関西人やっせです。本日は関西地方でよく使われる言葉「おぼこい」について紹介致します。
先日、ある本の原稿の中で「おぼこい」という言葉を用いたところ、担当編集者さんに「おぼこいは大阪弁じゃないですか?こっちではあまり使わないですね」とのご指摘を頂き、びっくりしました。で、それなら一度、ブログで紹介してみようと考えたわけです。
「おぼこい」の意味はもちろんのこと、どこの方言であるか(大阪でしか使わないということはさすがにないと思うんですけどね)などについても詳しく調査し、解説していくつもりですので興味のある方は是非とも、ご覧になって下さい。
そしたら、早速、行きまっせ~!
「おぼこい」って聞いたことがあるような気がする。意味までは思い出せないけど。
おぼこいの意味は?
「おぼこい」は
- 幼い
- 子供っぽい
- かわいらしい
といったことを意味する言葉になります。
一点、気を付けて頂きたいのは、「おぼこい」には「年齢の割に」という含みがあるということです。
通常、子供って10歳を超えるあたりから、色んな部分で大人びてくると思うのですが、周囲の同年代の子たちと比べて、そういう傾向が薄い子っていますよね。そういう子のことを「おぼこい」と形容するわけです。
なお、「おぼこい」は漢字では「未通女い」や「童女い」などと書きます。まあ、どちらも完全に当て字だと思いますが。
ちなみに、どちらの当て字においても「女」という漢字が入っていますが、少なくとも現代においては男の子についても普通に「おぼこい」と形容しますので、その点、誤解されませんように。
当て字がすごいね。クイズの問題になりそう。
おぼこいの語源は?
おぼこいの語源については二説あります。
一つ目はボラの幼魚「おぼこ」から来ているとする説(ボラは出世魚で成長段階に応じて呼び名が変化する)、二つ目は生まれたての赤ちゃんを意味する「産子(うぶこ)」から来ているとする説です。
どちらも十分、ありそうな説ですよね。音で考えれば前説の方が、意味合いで考えれば後説の方が有力ということになるでしょうか。
私個人の感覚としては意味合い的にドンピシャの「産子」説のような気がします。言葉の音の方は結構、簡単にかつ、大胆に変化しますからね。まあ、あくまで普通のおっさんの予測に過ぎませんが。
おぼこいはどこの方言?
「おぼこい」は、もともと京都・大阪を中心とする近畿地方の方言でしたが、現在では福井県や愛知県西部などでも普通に使用されるなど、その使用範囲が非常に広くなっています。
関東地方では、ほとんど使わないようなので、標準語か方言かの二元論で言えば、方言ということになりますが、西日本の非常に広い範囲で使用されている点を考えれば、方言というより、西日本語とでも言うべきものなのかもしれません。
かなり、広いエリアで使われている方言なんだね。
おぼこいを使った例文
次に「おぼこい」という言葉への理解を深めて頂くべく、「おぼこい」を使った関西弁の例文を紹介したいと思います。一応、標準語訳をお付けしておきますので、合わせ参考になさって下さい。
この子はおぼこいねえ。まだまだ、かわいげ、あるわ。
(標準語訳:この子は子供らしいねえ。まだまだ、かわいげがあるわ。)
オーソドックスな使い方。上でも触れた通り、「おぼこい」には「年齢の割には」という含みがあるため、小学校高学年から大学生ぐらいまでの間の人に対して使うのが一般的です。
それ以下の年齢の子供が「子供っぽい」のは当たり前のことですので、あえて、「おぼこい」ということは稀です。
いやあ、立派なお嬢さんになりはって。もう、いつでもお嫁にいけるねえ。
(標準語訳:いやあ、立派なお嬢さんになられて。もう、いつでもお嫁にいけますねえ。)
いやいや、そんなん、いつになることやら。まだまだ、おぼこいもんですわあ。
(標準語訳:いやいや、そんなこと、いつになることやら。まだまだ、子供っぽいものですよ。)
「子供っぽい」というより、いろんな意味で「大人にはなっていない」という意味で「おぼこい」を使っているケース。親は自分の時のことは棚に上げて、娘にはいつまでも、おぼこく、いて欲しいと思っているものです。
もちろん、そんなに都合よくはいきませんが(笑)。
おぼこいんか、なんや、わかりませんけど、もう、30も近い言うのに、いまだに彼女の一人もできた試しがありませんのや。
(標準語訳:幼いのか、なんだか、わかりませんけど、もう、30も近いというのに、いまだに彼女の一人もできた試しがないんですよ。)
それはあかんなあ。ちょっと、きばらんと。
(標準語訳:それはダメだなあ。ちょっと、頑張らないと。)
奥手に近い意味合いで使っているケース。関西でも例にもれず、若者世代の男性の草食系化は進行中です。
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アホみたいにちょっかい、かけたらアカンで。あの子はああ見えて、結構、おぼこいんやから。
(標準語訳:バカみたいにちょっかい、かけたらダメよ。あの子はああ見えて、結構、世間ずれしてないんだから。)
年齢ではなく、見た目とのギャップで「おぼこい」を使っているケース。見た目、ド派手で中身は結構、おぼこいというのは大阪あるあるかもしれません。
なるほど、大体の使い方はわかったよ。
おぼこいは悪口なの?
「おぼこい」の意味を知っている若者で「あなたは、おぼこいね」と言われて喜ぶ人は少ないかもしれません。若者は、概して年齢の割に子供っぽいと見られるより、大人っぽいと見られたがるものだからです。
では「おぼこい」というのは悪口なのかと言いますと私は決してそうではないと考えています。
上でも触れたとおり、「おぼこい」の意味は確かに「幼い」とか「子供っぽい」ということです。しかしながら、たとえば20歳ぐらいの若者を評して「おぼこい」という場合、それは単純に「幼い」とか「子供っぽい」ということだけを言おうとしているわけではないんですね。
その人が「かわいらしい」ことを強調しようとしたり、あるいは「変に世間ずれしていなさそう」とか「人として素直そう」だとかいったプラスのニュアンスを込めることが多いのです。
ですので、もしも面と向かって「おぼこいね」などと言われることがあったとしても悪口を言われたなんて思う必要はないです。素直に「ものすごく、かわいらしいって感じてもらえたんだなあ」とか、「変に世間ずれしていなさそうと評してくれたんだなあ」と捉えて喜んでおきましょう。
「おぼこい」は悪口ではありません。むしろ、ほめ言葉と捉えて下さい。
ある程度の年齢になると女性はむしろ「おぼこい」って言われる方がうれしいかも。だって、年齢より若く見えるってことなんでしょ。
まとめ
- 「おぼこい」は「幼い」「子供っぽい」「かわいらしい」といったことを意味する言葉で、「年齢の割に」という含みがある。
- 「おぼこい」の語源についてはボラの幼魚「おぼこ」から来ているとする説と生まれたての赤ちゃんを意味する「産子(うぶこ)」から来ているとする説がある。
- 「おぼこい」はもともと京都や大阪の方言だったが、現在では福井県や愛知県西部でも使用されるなど、使用範囲が広くなっている。
- 「おぼこい」には「変に世間ずれしていなさそう」とか「人として素直そう」だとかいったプラスのニュアンスを込めることが多い。悪口ではなく、むしろほめ言葉として捉えるべき。
ちなみに私自身は小学校高学年ぐらいから、かなりのオッサン顔だったので「おぼこいね」などと言われたことがありません。
むしろ、一度ぐらいは「おぼこいね」とか言ってもらいたかった。まあ、言われたとしても「どこがやねん!」とツッコむしかなかったと思いますが(笑)。
だから、若い子たちに言いたい!仮に「おぼこいね」などと言われても決して悪くはとらないように。おっさん、おばはん臭いと言われるより、よっぽどいいじゃないですか。
何より「おぼこい」という言葉を使う側にあなたのことをけなしてやろうなんて意図はまず、ないのですから。素直にほめ言葉として受け取って「ありがとう」と御礼の一つでも言っておけば、いいのではないかと思います。
いや、適当なことを言ってるわけじゃない、ホンマの話ですよ。
以上、今回は「おぼこい」という言葉の意味等についてお伝え致しました。
当サイトでは「おぼこい」以外にも様々な言葉の意味等について取り上げています。興味のある方は合わせてご覧になって下さい。