これまで高校生、中学生、小学生と成長期にある世代の握力の平均について紹介してきましたが、そうなると、あらためて感じる疑問が「成人の握力って、どれくらいのものなのか?」ということです。
成人の握力の平均がわからなければ、子供たちの握力がどういった水準にあるのかということも判断しにくいですしね。
あらためて考えてみると、私自身、握力なんて高校生の時の体力テストで計測したのが最後でそれ以来、計測したことがなく、自分の現在の握力はもちろんのこと、まして、成人全体の握力の平均なんて見当もつきません。
こうなると俄然、成人の握力の平均について興味が出てきました。
そこで今回から2回にわけて成人男性と成人女性の握力の平均について、それぞれ紹介していきたいと思います。
まず、今回は第一弾として成人男性の握力の平均についてです。
それでは、早速、確認してみましょう。
成人男性の握力
令和2年度実施の体力・運動能力調査結果(速報)によると成人男性の年代ごとの握力の平均は以下のようなものでした。
年代 | 握力の平均(令和2年度) |
---|---|
20歳~24歳 | 45.56キロ |
25歳~29歳 | 45.13キロ |
30歳~34歳 | 46.35キロ |
35歳~39歳 | 45.27キロ |
40歳~44歳 | 45.32キロ |
45歳~49歳 | 45.29キロ |
50歳~54歳 | 45.01キロ |
55歳~59歳 | 45.43キロ |
60歳~64歳 | 42.38キロ |
こうして、あらためて調査結果をチェックしてみて驚いたのが20代から50代に至るまで成人男性の握力の平均は、ほとんど変わらないということです。
さすがに60代に突入すると握力がグッと落ちてくるようですが、それでも40キロ代は余裕でキープしています。
握力は普通に生活しているだけでも結構、使うことになる筋力ですので、加齢によっても、あまり急激に落ちることがないといった理由があるかもしれません。
たしか高校3年生の握力の平均が40キロぐらいだったよね。ということは高校3年生より60歳~64歳の成人の握力の平均の方が上だってことか。
そう考えると、60代の人たちも、まだまだ、大いに元気だってことだね。
握力の平均は上がっている?下がっている?
次に成人の握力の平均の遷移傾向を知るために過去の握力測定の結果を見てみましょう。
ここでは政府の運営する統計データサイト、e-Statで確認することができる最も古いデータ、平成11年度体力・運動能力調査結果に掲載されている握力の平均値を紹介しておきます。
年代 | 握力の平均(平成11年度) |
---|---|
20歳~24歳 | 48.78キロ |
25歳~29歳 | 49.48キロ |
30歳~34歳 | 49.99キロ |
35歳~39歳 | 50.00キロ |
40歳~44歳 | 49.19キロ |
45歳~49歳 | 47.98キロ |
50歳~54歳 | 46.51キロ |
55歳~59歳 | 44.39キロ |
60歳~64歳 | 42.05キロ |
20代から40代前半にかけては平成11年度の握力の平均の方が3キロから5キロは上だったようです。
この結果から考えると、握力の平均の低下傾向は、小中高生より、むしろ20代から40代の成人男性の方が激しいということになります。
「今の子供は・・・」なんて言っている場合じゃ、ありませね。
その一方で50代後半以降の世代では、令和2年度の方が握力の平均がわずかながら、上昇しています。
よく人生100年時代なんて言いますが、その言葉のとおり、ちょっと前であれば、おじいさん扱いを受けていたような年代の人が益々、元気になっている時代なのかもしれません。
こんなにも成人男性の握力の平均が落ちてるんだ。ちょっと残念。僕ももう少しは鍛えないといけないなあ。
運動部に所属している人は握力が強い?
今度は運動部に所属している人とそうでない人の握力の平均の差を見てみましょう。
令和2年度体力・運動能力調査によると成人男性のうち運動部に所属している人とそうでない人の握力の平均 は、それぞれ以下のような結果になっています。
統計データ上では「運動部・スポーツクラブに所属しているか、どうか」で区分がなされているため、当サイトでも、そのままの表現で掲載しています。
成人の場合、当然、学校の部活などはありませんので、たとえば地域の草野球チームなどに所属しているか、どうかということで区分されているものと考えられます。
年代 | 運動部に所属している | 運動部に所属していない |
---|---|---|
20歳~24歳 | 45.63キロ | 45.34キロ |
25歳~29歳 | 47.47キロ | 44.21キロ |
30歳~34歳 | 46.08キロ | 46.33キロ |
35歳~39歳 | 46.47キロ | 44.95キロ |
40歳~44歳 | 45.91キロ | 45.17キロ |
45歳~49歳 | 45.59キロ | 45.07キロ |
50歳~54歳 | 46.42キロ | 44.75キロ |
55歳~59歳 | 44.72キロ | 45.68キロ |
60歳~64歳 | 41.81キロ | 42.81キロ |
成人男性の場合、一部の年代を除くと、運動部に所属している人と、そうでない人で、握力にそれほど、大きな違いはないようです。
ちょっと、意外な感じがしますね。
成人の場合、運動自体を楽しんだり、健康の維持を図ったりすることに目的を置く人の割合が高くなるからかもしれません。
競技に勝つことにこだわらず、運動自体を楽しんだり、健康の維持を図ったりすることを目的とするなら、その取り組み方も比較的、ゆるやかなものになるはずですから。
一点、気になるのが50代後半以降は、運動部に所属していない人の方が握力の平均が高くなっている点です。
これはなぜ、なんでしょうね。
今まであまり運動してこなかった人たちが健康維持のためにゲートボール部みたいなものに入るから?
その一方で体力に自信がある人はゲートボールなんてやらないから?
50代後半でゲートボール部になんて入らないか。
いずれにしても、ちょっと、よくわからない現象ですね。
平均握力との差計算フォーム
ご自身の握力と同世代の人の平均握力の差とを手軽に求めることができる計算フォームを用意致しました。
ご自身の握力が平均からみて、どの程度の水準にあるのか興味のある方は是非、ご利用になってみて下さいね。
平均との差があまりに大きかった人は、少し握力を鍛えた方がいいかもしれません。
握力が弱すぎると高齢になってから、普段の生活上で困ることが色々と出てきますので。
以下、参考までに握力の鍛え方の動画を掲載しておきますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さいね。
初心者向け器具なしでできる握力のトレーニング方法
こちらは以前にも紹介したことのある器具なしで取り組める握力の鍛え方を解説してくれている動画です。
あまり構えずに気軽に握力強化に取り組みたい方は、こちらの動画からどうぞ。
握力強化器具の定番、ハンドグリップの正しい使い方
握力を鍛える器具としては最もポピュラーなハンドグリップの正しい使い方について紹介されている動画です。
将来的にりんごを握りつぶすことができるほどの握力を手に入れたいとお考えの方は、こちの動画も合わせてどうぞ。
まとめ
- 成人男性の握力の平均は20代から50代まで45キロ~46キロ程度で推移しており、ほとんど同じ水準にある。
- 20代から40代の成人男性の握力の平均はここ20年ほどの間で3キロから5キロ程度、低下している。
- 50代後半から60代前半の成人男性の握力の平均は、わずがながら上昇している。
- 成人男性の場合、運動部に所属している人とそうでない人で握力の平均に大きな差は認められない。
熟年世代の人たちの体力が向上しているのはいいことだよね。長生きできても健康に暮らせないと日々の生活を楽しむことができないし。若い世代の人たちも熟年世代の人たちに負けないように頑張って!
ちなみに他の平均についてもあれこれ記事にしていますので、合わせてチェックしてみて下さいね。
⇒色んな平均の記事一覧