まいど、コテコテ関西人やっせです。今回は関西人がよく使う「呼ばれる」という言葉についてご紹介致します。
「呼ばれる」と言えば、普通は「呼ぶの受身形」のことを思い浮かべられることと思いますが、関西ではそれとは、また、違った意味・用途で「呼ばれる」という言葉を頻繁に使用します。どんな意味で使用するのか、大いに気になるところですよね。
そこで今回「呼ばれる」という言葉について詳しく紹介してみようと考えた次第です。
関西以外にお住いの方にもスッキリとご理解頂けるよう、わかりやすさ重視で解説させて頂くつもりですので興味のある方は是非、最後までご覧になって下さい。
ほな、早速、行かせてもらいまっせ~!
これは私わかるかも。確信まではないけど。
「呼ばれる」の意味は?
関西でよく用いられる「呼ばれる」の意味は次のとおりです。
- ごちそうになる
- いただく
一般的に食事に招待されることについて「食事に呼ばれる」などという言い方をしますよね。しかし、関西では、それだけでなく、実際に食事をごちそうになることについても「食事を呼ばれる」という言い方をするのです。
食事に呼ばれる⇒食事に招待される
食事を呼ばれる⇒食事をごちそうになる
つまり、「食事」と「呼ばれる」を結ぶ助詞が「に」か「を」かで意味が変わってくるということです。
ちょっと、ややこしい話ですが、重要なポイントですので是非とも覚えておいて下さい。
やっぱりそうだよね。私も「お呼ばれに行く」とか「お呼ばれに預かる」なんていう言い方はするから、似たような意味なんじゃないかと思ったわ。
呼ばれるを使った例文
ここでは「呼ばれる」という言葉を使った関西弁の例文をいくつか紹介致します。実際の会話を想定した例文を見ることによって「呼ばれる」という言葉のより深い意味や使い方なども理解できると思いますので、是非ともご覧になって下さい。
手ぶらで来といて、呼ばれてしもて、ほんまにええんやろか。
(標準語訳:手ぶらで来ておいて、ごちそうになってしまって、本当にいいんでしょうか。)
そない遠慮せんと。と言うても大したおもてなしもできまへんのやけどな。
(標準語訳:そんなに遠慮しないで。と言っても大したおもてなしもできないんですけどね。)
ふらっと知人宅に立ち寄ったら、夕食を食べて行ってと言われた際のやりとり。
関西人も一応、こういった遠慮はしますw
食べて、食べて。ようけ、こうてきてしもたんよ。
(標準語訳:食べて、食べて。たくさん買ってきてしまったのよ。)
ほんまに?ほな、遠慮のう呼ばれます。
(標準語訳:本当に?そしたら、遠慮なく頂きます。)
友人宅にて友人のお母さんから豚まんを勧められた際のやりとり。
なお、「ようけ」という言葉の意味等の詳細については以下の記事をご参照下さい。
「ようけ」という言葉の意味や、どこの方言であるか、などについて関西弁歴半世紀の大阪人が解説しています。意味の理解が深まるよう、「ようけ」という言葉を用いた関西弁の例文なども紹介していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
えらい、呼ばれてしまいまして。おおきにね。
(標準語訳:すごく、ごちそうになってしまいまして。ありがとうね。)
ごちそうになった後に辞去する際のセリフ。
実際には大してごちそうになってなくても「えらい、呼ばれてしまいまして」などとお礼を言うのが一般的な礼儀かと思います。
実は今日、伊藤さんとこで、夕食、呼ばれてきたんや。
(標準語訳:実は今日、伊藤さんのところで、夕食をいただいてきたんだ。)
知人宅でごちそうになった後、自宅に帰ってから、その旨を伝える際のセリフ。
ちなみに今のお父さんは、こんな事後報告なんて100%許されませんよね。我が家もこんなこと言おうものなら、大事ですw
かずくん、ケーキ呼ばれよか。
(標準語訳:かずくん、ケーキいただこうか。)
訪問先でケーキを出してもらい、我が子に一緒にいただこうと促す際のセリフ。
このように具体的に品目を示して「~を呼ばれる」という言い方をすることもよくあります。
ほな、ぼちぼち呼ばれましょか。
(標準語訳:そしたら、そろそろ、いただきましょうか。)
会合等で食事を始める際のセリフ。
自腹で食事をする場合であっても「呼ばれる」という言葉を使うことがあるということです。まあ、「呼ばれる」に「いただく」という意味がある以上、当然の話ではありますが念のため。
なるほど、「呼ばれる」は「食べる」のちょっと奥ゆかしい言い方としても使用されているってことだね。
呼ばれるってどこの方言?
「ごちそうになる」「いただく」の意味で使われる「呼ばれる」は方言ではありません。
使用頻度や用法などに差はあるものの、ほぼ全国で使用され、あるいは意味の通じる言葉だからです。
ただし、「ごちそうになる」や「いただく」のような規範的な言葉というわけではありませんので標準語ではなく、扱いとしては共通語ということになります。
実は私自身も今回、調査するまでは「呼ばれる」はせいぜい中部地方西部(愛知県など)から中国地方(山口県や広島県)あたりまでで使用される関西圏の方言だと思っていました。
しかしながら実際には中部地方東部(山梨県や新潟県など)、さらには北関東地方(群馬県や茨城県など)あたりでも割と普通に使用されているようです。
何事もしっかりと調べてみないとわからないものですね。
方言じゃなくて共通語なのね。これはちょっと意外。
まとめ
- 関西では「呼ばれる」を
・ごちそうになる
・いただく
という意味で頻繁に用いる。 - 「ごちそうになる」「いただく」の意味で使われる「呼ばれる」は方言ではなく共通語である。
- 「呼ばれる」は関西圏だけでなく中部地方東部や北関東地方などでも普通に使用されている。
個人的には「呼ばれる」が関西弁でなく共通語であるというのはちょっと衝撃的でした。
よく関西人が標準語だと思っている関西弁などというものが話題に上りますが、それとほぼ逆の関西人が関西弁だと思っている共通語が存在しているとは。
いずれにしても思い込みは誤りのもと。
今後も知らないことについてはしっかりと調べるということを心がけていきたいと思います。
以上、今回は「呼ばれる」という言葉の意味等についてお伝え致しました。
当サイトでは「呼ばれる」以外にも色々な言葉の意味等についてお伝えしています。興味深い記事も多いと思いますので、お時間の許す方は合わせてチェックしてみて下さい。