こんにちは、コテコテ関西人やっせです。本日は関西弁の語尾について紹介致します。
関西弁の語尾については、その意味や使い分けの仕方がわかりにくいという声をよくお聞きします。そこで関西弁の語尾について、一度、網羅的に紹介しておこうと思い立ったわけです。
関西以外の方にもスッキリとご理解頂けるよう、例文なども用いつつ詳しく紹介していきますので興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
ほな、早速、行きまっせ~!
関西弁の語尾というと「ねん」とか「はる」を思い浮かべるけど、他にはどんなものがあるんだろう?
普通の文の関西弁語尾グループ
普通の文(平叙文)に用いられる関西弁の語尾で一般的なものとしては次のようなものがあります。
ねん・やねん
意味:~だ、~なんだ
例文①:ちがうねん。(ちがうんだ)
例文②:あいつは、ほんまにアホやねん。(あいつは本当にアホなんだ。)
ねん・やねんは疑問文の語尾としても使います。
例文③:何がちがうねん?(何がちがうんだよ?)
例文④:なんでやねん?(なんでだよ?)
ツッコミ用語としてもよく使われる「なんでやねん」という言葉のさらなる詳細については、こちらの記事をご覧になって下さい。
関西弁「なんでやねん」の言葉の意味等についてお伝えしています。関西弁歴50年の大阪のおとんが、関西以外にお住まいの方にも、すんなりとご理解頂けるよう、例文を用いて、コッテリと解説していますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
てん・してん
意味:~たんだ、~したんだ
例文①:今日、9時からテレビ見たいから、先にお風呂、入ってん。(今日、9時からテレビを見たいから、先にお風呂に入ったんだ。)
例文②:今日、学校の昼休みにアキオ君らとサッカーしてん。(今日、学校の昼休みにアキオ君たちとサッカーをしたんだ。)
てん・してんも疑問文の語尾として使うことがあります。
例文③:姉ちゃん、お母ちゃんに何言うてん?(姉さん、お母さんに何を言ったの?)
例文④:自分、今、何してん?(君は今、何をやったの?)
やん・やんけ
意味:~ね、~じゃないか
例文①:お前の妹、めちゃめちゃ、かわいいやん。(お前の妹、すごく、かわいいね。)
例文②:だから、やめとけて、言うたやんけ。(だから、やめとけって、言ったじゃないか。)
また泉州地方ではやんを否定の意味で使うこともあります。
例文③:私は晩御飯、食べやん。明日、学校で体重測定あんねんもん。(私は晩御飯、食べない。明日、学校で体重測定があるんだもん。)
や・のや
意味:~だ、です、~ですよ
例文①:へー、そうなんや。(へー、そうなんだ。)
例文②:だから、そないな連中と付き合うのは、やめときなはれと言いましたのや。(だから、そんな、連中と付き合うのはやめときなさいと言ったんですよ。)
なお、「のや」については現在では「んや」となまらせることの方が多くなっています。
例文③:この道をズドンといって、どんつきで右に行きますんや。(この道を真っすぐいって、突き当たったら右に行くんですよ。)
なお「どんつき」というのは関西弁で「つきあたり」のことを言います。「どんつき」という言葉の意味等の詳細については、こちらの記事をご確認下さい。
どんつきという言葉の意味についてコテコテの関西人(大阪人)の立場から紹介しています。例文や図解を用いつつ、なるべくわかりやすく、かつ、ユーモアをもって解説させて頂いておりますので、興味のある方は是非ともご覧になって下さい。
な・やんな
意味:~ね、~よね(同意を求める表現)
例文①:相変わらず、心斎橋、めちゃめちゃ、混んでんな。(相変わらず、心斎橋、すごく混んでるね。)
例文②:あいつら、そんな面倒くさいこと、絶対、せーへんやんな。(あいつら、そんな面倒くさいこと、絶対、しないよね。)
まっせ・しまっせ
意味:~ますよ、~しますよ
例文①:大役、お引き受けしたからには、精一杯、やらせてもらいまっせ。(大役、お引き受けしたからには、精一杯、やらせてもらいますよ。)
例文②:今、スパーンとウチで決めてくなはれ。勉強しまっせ。(今、踏ん切りよく、当方で決めて下さい。お値引き致しますよ。)
「勉強しまっせ」と言えば、「引っ越しのサカイ」だよね。僕も引っ越しをするときにお世話になりました。
とる(とん)、しとる(しとん)
意味:~てる、~してる
例文①:今、寝とるわ。(今、寝てるわ。)
例文②:ひろしら、公園で野球しとるわ。(ひろしたち、公園で野球してるわ。)
とる・しとるは疑問の語尾としても使いますが、その場合、「とる」は「とん」と、「しとる」は「しとん」となまるのが一般的です。
例文③:自分、何やっとんねん?(君、何をしているの?)
例文④:お父ちゃん、何しとん?(お父さん、何してる?)
かい・かいな
意味:~か
例文①:なんや2軒目、行けへんのかい。付き合い悪いのう。(なんだ2軒目、行かないのか。付き合い悪いなあ。)
例文②:子供らおらへんのかいな。会えると思て楽しみにしてたのに。(子供たちいないのか。会えると思って楽しみにしていたのに。)
また「かいな」の方は軽い疑問文を作ることもあります。
例文③:ほんまかいな。ちょっと、信じられへんわ。(本当に?ちょっと、信じられないわ。)
がな
意味:~ですか
例文①:そないな無茶、通るわけありまへんがな。(そんな無茶、通るわけないじゃないですか。)
たる・したる
意味:~あげる
今から出るからポスト入れといたるわ。(今から出るからポストに入れておいてあげるわ。)
ほな、今回だけは見逃したる。(そしたら、今回だけは見逃してあげる。)
て・で
意味:~よ
絶対、そうちゃうて。(絶対、そうじゃないよ。)
し
意味:~もの、~から
そんなこと言われても私は知らんし。(そんなこと言われても私は知らないもの。)
何らかの言い訳をするような場合に使用する語尾表現です。
意外なことに大体、知っているものばかりだわ。きっとテレビに関西の芸人さんがたくさん出ているせいね。
否定文を作る関西弁の語尾
否定文を作る関西弁の語尾としては次のようなものがあります。
ん・へん(ひん)
意味:~ない
例文①:あいつはそういう卑怯なマネだけは絶対、やらん。(あいつはそんな卑怯なマネだけは絶対にやらない。)
例文②:ギャンブルは全く、やらへん。(ギャンブルは全くやらない。)
ん・へんもまた、疑問文の語尾として使うことがあります。
例文③:来週の土曜日、飲みにいかん(あるいは、いかへん)?(来週の土曜日、飲みに行かない?)
「へん」はさんまさんのイメージがすごく強いわ。他の芸人さんも使ってるのにね。全国区の関西芸人の元祖だからかしら。
疑問文を作る関西弁語尾グループ
疑問文を作るために使われる関西弁の語尾としては以下のようなものがあります。
のん
意味:~の?
例文①:自分ら何やってんのん?(君たち何をしてるの?)
現在形の疑問文を作る語尾として、かなり使用頻度は高いです。
たん・したん
意味:~たの?~したの?
例文①:えっ、これ自分で作ったん?なかなか、器用やな。(えっ、これ自分で作ったの?なかなか、器用だね。)
例文②:遊びに行くのはかまへんけど、宿題したん?(遊びに行くのはいいけど、宿題はしたの?)
過去形の疑問文を作ります。
まっか
意味:~ますか
例文①:おばあちゃん、元気にされてまっか?(おばあちゃん、元気にされてますか?)
現在形の疑問文を作ります。使うのはほぼ、年配の方に限られます。
でっか
意味:~ですか
例文①:ここいらに並んでるまったけは中国産でっか?(ここらあたりに並んでいる松茸は中国産ですか?)
こちらも使うのは年配の方だけです。
とう・しとう
意味:~てる?~してる?
三宮のキャトルラパンっていうお店、知っとう?(三宮のキャトルラパンっていうお店、知ってる?)
例文①:テスト勉強しとう?(テスト勉強、してる?)
「とう・しとう」は神戸を中心とした兵庫県南部の方言です。
け
意味:~の?
例文①:もう、宿題やったんけ?(もう、宿題はやったの?)
疑問文を作る「け」は主に京都や和歌山県北部で使われています。
「でっか」はさんまさんと西川きよしさん以外が使っているのを聞いたことがないなあ。まさに年輩の人しか使わないということか。
丁寧な表現の関西弁語尾グループ
丁寧な表現の関西弁の語尾としては以下のようなものがあります。
はる・しはる
意味:~される~していらっしゃる
例文①:あそこの家は猫、3匹も、こうてはるんよ。(あそこの家は猫を3匹も飼っていらっしゃるのよ。)
例文②:社長んとこは、奥さんも娘さんもゴルフしはるからね。(社長のところは、奥さんも娘さんもゴルフをされるからね。)
また、「はる・しはる」は疑問文の語尾となることもあります。
例文③:せっかくやし、上がっていきはる?(せっかくだし、上がっていかれますか?)
例文④:麻雀はしはるん?(麻雀はされますか?)
やす
意味:~ませ
例文①:ようこそ、おいでやす。(ようこそ、いらっしゃいませ。)
「おいでやす」「おこしやす」など使いどころは限定的です。主に京都で使用されています。
おます
意味:~です
例文①:そないでおますか。(そうですか。)
既に大阪でも正しく使える人がほとんどいない語尾表現です。
「おます」についての詳細はこちらの記事でご確認ください。
大阪弁「おます」の意味等について大阪のおとんが解説しています。他県民の方にもわかりやすいよう例文を交えてコッテリ、解説していますので、大阪弁「おます」の意味等について興味のある方は是非ともご覧になって下さいね。
関西弁というと、ちょっと怖いイメージがあるけど、こういう優しい感じの語尾もあるよね。
威嚇的な表現の関西弁語尾グループ
会話の相手を威嚇、もしくは侮辱するような雰囲気を持つ関西弁の語尾としては以下のようなものがあります。
さらす・しさらす
意味:(非礼・非常識なことなどを)する
例文①:お前は何をしさらす(やりさらす)んじゃ。(お前は何てことをしてくれるんだ。)
ケンカか、おふざけの場面でしか使わない表現です。
けつかる
意味:(非礼・非常識なことなどを)する
例文①:おのれは人の車に何してけつかんねん。(お前は人の車に何てことをしてくれたんだ。)
吉本新喜劇ではちょくちょく、使われていますが、普通の人はまず、使わない語尾表現です。
こんな言葉づかいで、すごまれたら、ヤダなあ。でも、ほとんど使われていないってことで一安心。
まとめ
- 普通の文(平叙文)に用いられる関西弁の語尾としては「ねん・やねん」「てん・してん」「やん・やんけ」「や・のや」「な・やんな」「まっせ・しまっせ」「とる・しとる」「かい・かいな」「がな」「て」「し」などがある。
- 否定文を作る関西弁の語尾には「ん・へん」などがある。
- 疑問文を作る関西弁の語尾としては「のん」「たん・したん」「まっか」「でっか」「とう・しとう」「け」などがある。
- 丁寧な表現の関西弁の語尾としては「はる・しはる」「やす」「おます」などがある。
- 会話の相手を威嚇、もしくは侮辱するような雰囲気を持つ関西弁の語尾としては「さらす・しさらす」「けつかる」などがある。
今回この記事を書くにあたって、あらためて自分が普段、使ったり、聞いたりしている言葉の語尾を検証してみたのですが、一言に関西弁の語尾と言っても、随分、多くのものが使用されているものなんだなあと、ちょっと、ビックリしてしまいました。
ただ、今回、取り上げた関西弁の語尾の中にも、既に使用頻度が著しく下がってしまっているものが、多く含まれているのも事実で、たとえば50年後とかに、あらためて関西弁の語尾の一覧を作ったら、その数はかなり減ってしまうことになるのかもしれません。
方言が失われていくというのは避けられない現象なのかもしれませんが、日本人みんなが標準語で話すというのも、また、味気のない話。せめて関西の独特の雰囲気みたいなものが失われない程度には関西弁が残っていって欲しいものだなあと、あらためて思いました。
ということで頼んまっせ、未来の関西人。標準語もいいけど、関西弁もね!
以上、今回は関西弁の語尾について詳しくお伝え致しました。
当サイトでは関西弁を中心に様々な言葉の意味等についてお伝えしています。関西弁に興味のある方は是非とも、ご覧になって下さいね。